刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第八十九条第四号及び第九十六条第一項第三号中「相当な」を「充分な」に改める。
第百九十八条第二項中「前項の取調」を「第一項の取調べ」に改め、「旨」の下に「及び弁護人を取調べに立ち会わせることを求めることができる旨」を加え、同条第一項の次に次の三項を加える。
前項の取調べに際しては、被疑者又は弁護人が求めたときは、弁護人(弁護人が求めたときは、当該弁護人)の立会いを認めなければならない。
前項の求めがあつたときは、取調べの日時及び場所は、あらかじめ、弁護人にこれを通知しなければならない。
逮捕又は勾留されている被疑者が第二項の求めをした場合において被疑者に弁護人がないときは、被疑者は、弁護人が選任されるまでの間、第一項の取調べを拒むことができる。ただし、弁護人が選任される見込みがない場合は、この限りでない。
第百九十八条に次の五項を加える。
第一項の取調べに際しては、被疑者の供述及び取調べの状況のすべてを記録媒体(被疑者の申立てがあつた場合には、音声のみを記録することができる物)に記録しなければならない。この場合においては、同時に、同一の方法により二以上の記録媒体に記録するものとする。
前項の規定により記録をした記録媒体の一については、取調べを終了したときは、速やかに、被疑者の面前において封印をしなければならない。この場合においては、同項の記録媒体が同項の規定により記録されたことについて、被疑者に確認を求めることができる。
前項の確認がされたときは、同項の封印に被疑者の署名押印を求めることができる。ただし、被疑者がこれを拒絶した場合は、この限りでない。
第十項の規定により封印をした記録媒体は、捜査記録に添付して捜査に関する書類の一部とするものとする。
被疑者又は弁護人は、第九項の規定により記録をした記録媒体(第十項の規定により封印をした記録媒体以外のものに限る。)を閲覧し、若しくは聴取し、又はその複製を作成することができる。
第二百三条第一項中「要旨及び」を「要旨並びに」に、「を告げた上、弁解」を「及び弁解に際し弁護人の立会いを求めることができる旨を告げた上、弁解(被疑者が求めたときは、弁護人の立会いの上での弁解)」に改め、同条に次の一項を加える。
第百九十八条第三項の規定は第一項の求めがあつたときについて、同条第九項から第十三項までの規定は第一項の弁解について、これを準用する。
第二百四条第一項中「及び」を「並びに」に、「を告げた上、弁解」を「及び弁解に際し弁護人の立会いを求めることができる旨を告げた上、弁解(被疑者が求めたときは、弁護人の立会いの上での弁解)」に、「但し」を「ただし」に改め、同条第三項中「第二項」の下に「及び第四項」を加える。
第二百五条第一項中「弁解」を「直ちに弁解に際し弁護人の立会いを求めることができる旨を告げた上、弁解(被疑者が求めたときは、弁護人の立会いの上での弁解)」に改め、同条に次の一項を加える。
第二百三条第四項の規定は、第一項の場合にこれを準用する。
第二百二十三条第二項中「第百九十八条第一項但書及び第三項乃至第五項」を「第百九十八条第一項ただし書及び第六項から第八項まで」に改める。
第二百九十九条第一項中「取調」を「取調べ」に改め、「これ」の下に「(第百九十八条第十二項(第二百三条第四項(第二百四条第三項及び第二百五条第五項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により捜査に関する書類の一部とされた記録媒体については、当該記録媒体以外の第百九十八条第九項の規定により記録をした記録媒体)」を加え、「但し」を「ただし」に改める。
第三百十九条第一項中「の自白」の下に「、第百九十八条第二項、第四項又は第九項の規定に違反してなされた取調べにおいてされた自白」を加え、「疑」を「疑い」に改める。
附 則
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
理 由
被疑者の取調べ等について弁護人の立会いを認める制度及び被疑者の取調べ状況等の録音・録画を義務付ける制度を導入するとともに、権利保釈の除外事由を制限する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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