トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2001/05/04
鳩山代表ら韓国訪問団が帰国〜金大中大統領らと率直な意見交換、信頼関係深まる
記事を印刷する

鳩山由紀夫代表を団長とする民主党議員団が5月1日から4日まで韓国を訪れ、金大中大統領など政府要人や韓国の与野党幹部と精力的に会談し、相互信頼と交流を深めた。

 一行は鳩山代表の他、中野寛成副代表、伊藤英成外交安保ネクスト大臣、古川元久国際交流委員長、江田五月NPO委員長、仙谷由人企画委員長、鉢呂吉雄農水総括ネクスト副大臣、円より子参議院国対委員長代理、平野博文教科書問題検討WT座長、大谷信盛国際交流委員長代理、山村健広報委員会副委員長とスタッフ。

 訪韓議員団はまず2日、ソウル南西の安山市にある「故郷の村」を訪れ、住民集会に出席した。この施設は、第2次世界大戦中に旧日本軍の応召を受け、戦後もサハリンに残留せざるをえなかった韓国人の永住帰国のために、日本政府が27億円を拠出して昨年2月に完成した集合住宅。アパートの各部屋を訪問し、暮らしぶりを視察した後、集会で、鳩山代表は「祖父の鳩山一郎(元首相)が果たせなかった韓国・朝鮮人の皆さんの永住帰国を実現させることが、自分が政治家として行わなければならない仕事と考え、議員懇談会の事務局次長をつとめた」と語り、残留問題の最終解決へ向けての努力を、集まった約150人の高齢者を前に誓った。

 この日昼には、韓国の野党第1党であるハンナラ党の朴槿恵副総裁と昼食をとりながら会談。朴副総裁は49歳。朴元大統領の娘で,次期大統領の有力候補と見られている、韓国政界の新しい指導者の一人。日韓両国の国内政治状況や北東アジア情勢について率直な意見交換を行った。

 続いて一行は、韓昇洙外交通商部長官(外務大臣)と会談。会談の大半の時間を教科書問題が占め、韓長官からは日本の歴史教科書問題に関する韓国の基本的な立場として、@1982年の近隣諸国条項・1995年の村山談話・1998年の日韓パートナーシップ共同宣言をベースにする、A日本は世界に模範を示してきた国であり、世界に模範を示す教科書をつくって欲しい、との発言があった。これに対して、鳩山代表は、教科書検定制度や歴史教科書の内容について民主党の基本的な立場を説明。「ドイツとポーランドの間で行われたような歴史教科書を議論し合う場をつくるべきだ。偏狭なナショナリズムに陥ることのないよう努力が必要だ」などと述べた。
 
 さらに、韓国の与党・新千年民主党の金重権代表との会談では、同じ「民主党」として、両党に多い若手議員同士や実務レベルでの党間交流を進めることが鳩山代表との間で確認された。

 翌3日朝には、李仁済新千年民主党最高委員との朝食会や、韓国のクリスチャン議員団平のによる国会朝餐祈祷会の金泳鎮会長との懇談が行われ、後者には中野副代表、鉢呂、平野、江田各議員が参加。ここでも話題は、教科書問題が中心になり、韓国側からは、日本の民主党が正しい歴史観の下で努力していることへの評価や、村山談話等の立場に基づいて21世紀の日韓関係を切り開くべきこと、アジア経済の現状を考え日韓両国の緊密な協力関係を築くためにも歴史問題の精算は不可欠である、などの発言があった。

 続いて、午前10時過ぎからは李會昌ハンナラ党総裁との会談が行われた。李総裁は、南北関係の進展にも日本の果たす役割が大きいことを強調。鳩山代表は東アジアの不戦共同体構想をかねてより提案しているなどと応じた。また李総裁は「教科書問題のようなことが起これば日本は過去に縛られ続けることになり、日本にとって不幸なこと」と述べ、鳩山代表が説明した民主党の立場に期待をよせた。

 さらに11時過ぎからは、自民連の金鍾泌名誉総裁と会談。日本通で流暢な日本語で話す金総裁は、「教科書問題では日韓両国で互いに認めあえる表現方法があるはず。この問題で日韓関係が冷え込むことがあってはならない」との認識を示した。これに対し、鳩山代表は日韓で歴史教科書対話を進めるべきと提案し、金総裁も賛意を示した。

 午後からはまず林東源・統一部長官と会談。南北関係の進展や今後の展開についての意見交換が行われた。

 今回の訪韓のメインイベントである金大中大統領との会談は、3日16時から約1時間、青瓦台で行われた。

 金大統領からは今回の民主党訪韓団を心から歓迎する旨の発言があり、鳩山代表からも、金大中大統領が1998年の訪日時に行ったスピーチや日韓文化交流促進への功績について高く評価する旨の発言があった。
 鳩山代表は、林東源長官との会談に引き続き、北東アジアにおける不戦共同体構想を紹介した。金大統領は、日韓両国の友好関係促進に対する信念を語った。

 教科書問題について、金大統領は「私は、大統領に就任したとき、長い歴史の大部分がそうであったように、韓国と日本が仲の良い隣国として、信頼と友情に結ばれた関係にしたいという夢を描いた。そのため、国内の反対を押し切って、文化開放などをやってきた。やっと軌道に乗ってきたという矢先の出来事で、大変残念に思う」と述べ、教科書問題について政府の見解を作成するにあたり、@感情的に非難するのではなく、問題の中身を学問的・実証的に検討すること、A日本人全てがあのような考えを持っているのではないので、(韓国側が)日本人全てを批判したり感情を害したりすることのないよう、区別して記述すること、の2点を指示したことを明らかにした。

 また金大統領は、日朝国交正常化交渉の進展に期待するとともに、日韓両国の友好関係が進展することで北東アジアにおける不戦共同体構想も実現に向けて大きく前進できると語り、鳩山代表も、「誠意を持って友情に応える努力を尽くす」と話した。

 この日の夕方からは、現地に在留する日本人ビジネスマンや留学生との意見交換会がソウル市内のホテルで行われ、中野副代表、仙谷、平野、大谷、山村両議員が参加した。途中からは鳩山代表も出席し、民主党の政策などについて活発な意見交換が行われた。

 最終日の4日には、李正馥ソウル大教授など韓国の研究者、学識経験者と民主党議員団の意見交換会が開かれ、日韓両国の政治・経済・社会の多岐に渡る政策課題について密度の濃い議論が展開された。

 議員団の一行は最後に、北朝鮮との国境である板門店を視察。南北首脳会談後も変わることなく続いている緊張状態を目の当たりにして、南北分断の厳しさを実感し、韓国をあとにした。

 鳩山代表は8日のネクストキャビネット(NC)の冒頭で挨拶し、「こういう厳しい時だからこそ、真摯な対話ができたことはとても良かったと思う。NCで徹底的に協議頂いた歴史教科書についても、金大中大統領と議論し、党内で検討した範囲内で話をした。訪韓団がチーム一丸となってあたり、党間交流も含め大きな成果があった」と、韓国訪問を振り返って評価した。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.