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2001/05/09
鳩山代表が代表質問〜改革の提案突きつけ具体策ただす
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 小泉政権発足後、初めての国会論戦が9日の衆議院本会議から始まった。7日に行われた小泉首相の所信表明演説に対する各党の代表質問で、民主党・無所属クラブから鳩山由紀夫代表と枝野幸男政調会長代理が登壇。参議院本会議では10日に勝木健司、11日に小林元各参議院議員がバッターに立ち、「批判のための批判」ではなく、「改革のための改革の提案」を首相に突きつけ、その姿勢と具体策をただした。

 9日の衆議院本会議で、最初に質問に立った鳩山代表は、冒頭「民主党が党是として掲げてきた日本の構造改革に、あなたが嘘偽りなく取り組むというのであれば、あなたの内閣と真摯な議論を重ねていき、改革のスピードを競い合うことはやぶさかではない。しかし参院選のための単なる偽善的改革者であれば、私は徹底的にその欺瞞を白日の下にさらす」と述べた。

 その上で、小泉首相自身が「歴代最高の出来の内閣」と表した森内閣でできなかったことがどうしてできるというのか、自公保の枠組みを変えないで改革断行ができるのか、所信表明で首相が述べた「改革に抵抗する勢力」とは誰のことか----と、首相の政治姿勢をまず問いただした。

 これに対し、小泉首相は最初の質問には「改革姿勢」を強調するだけで正面から答えず、自公保連立については、「ご賛同いただけるのなら多くの政党に協力していただきたい」と述べ、「抵抗勢力」に関しては、「どういう勢力かはやってみないとわからない。私の内閣の方針に反対する勢力はすべて抵抗勢力だ」とはぐらかした。

 続けて、鳩山代表は、小泉首相に「抵抗を排してでも改革を断行すると力強い決意を示されたので、私たちはやっと対等の立場で政策論争ができると素直に喜んでいる」とエールを送り、「経済・財政構造改革」「補助金行政の改革」「公共事業」「外交」の4つのテーマで、民主党の具体的な提案を示しながら、首相に迫った。

 まず、「経済・財政行動改革」で鳩山代表は、「森政権でまとめた「緊急経済対策」の実施がなぜ改革の断行につながるのか」「国債発行額を30兆円以下に抑制するとの自民党総裁選での公約が、その後の連立合意や党内事情で後退しているのでは」と疑問を呈した。

 その上で、「5年以内にプライマリー・バランスの均衡をめざす。そのために公共事業を3割削減し、行政改革を断行し特殊法人への補助金や行政経費の大幅削減など、まず徹底した歳出削減に取り組む」との財政健全化の道筋を示し、民主党が提出準備中の「年間の国債発行額を30兆円以下に制限する法案」「財政投融資を財投機関債に限定する法案」に「首相は当然賛成するべき」と迫った。

 小泉首相はこれに対し、「全然後退していない」と声を荒げたものの、30兆円に抑えることは「努力目標」だと答弁。一方で「増税はしない」と断言した。また民主党の法案については「法案が出された段階でよく見て検討したい」と述べるにとどまった。

 さらに、鳩山代表が不良債権の最終処理について、「私たちなら直ちに大手銀行の一斉検査を実施し、厳格な試算査定を引き当てを行わせ、半年以内に金融不安を解消する。その上で、不良債権の抜本処理を2年で終わらせる」と民主党の考えを示したが、小泉首相は「不良債権は従来より適正に開示されている」などと、ここでは答弁書を棒読みし、従来の政府見解を繰り返すにとどまった。

 次に「補助金行政の改革」について、鳩山代表が、民主党が準備している補助金や出資金を受けている公益法人、国から仕事を受注している企業・団体への天下りを禁止する「天下り禁止法」への賛同を小泉首相に求めたのに対し、首相は「法案について詳しくは申し上げられないが、公務員の再就職には国民の疑念を払拭できるような厳格なルールを設定する必要はある」と応じた。

 また、民主党が用意している「補助金を一括交付金に改める法案」に対して、小泉首相は「財源の見直しについて、一層の推進につとめたい」などと無難な答弁をするだけだった。

 鳩山代表が「構造改革を断行して歳出を削減するのなら、公共事業費は当然削減すべき」と述べたのに対し、小泉首相は「聖域なき構造改革には歳出の増加削減についてもいえる」と断言。しかし、具体的な内容については経済財政諮問会議などの議論にゆだねるとした。 諫早湾干拓事業と熊本県の川辺川ダムについて「小泉首相なら当然即刻中止するはず」と迫ったが、首相の姿勢は「環境に十分配慮しつつ対応する」などこれまでの政府見解から一歩も踏み出さなかった。

 さらに、鳩山代表は、「これまでの農業土木は農業に生きる人々を豊かにするのではなく、農業土木従事者を潤すための農政でしかなかった」として、農業土木予算を森林再生や人材育成などの「人への投資」に振り向けるべきと提言した。
 
 4つ目のテーマとして、小泉首相の「外交」姿勢を質した鳩山代表は、まず地球温暖化対策の京都議定書について「アメリカの対応に関わらず日本は早期批准すべき」と提案。しかし首相は「交渉に米国が建設的に参加できるよう働きかける」と述べたものの、日本の批准については答弁を避けた。

 また、鳩山代表が韓国訪問をふまえて、「政府も国民も我が国のことのみを考える狭い国益概念にとらわれず、広く東アジアの平和と安定に責任を持つとの自覚を持つべき」と述べ、歴史教科書問題について、「日本、韓国、中国との間で歴史教科書の対話に着手すべき」と提案。小泉首相も「提案はひとつの意見として十分検討したい」と応じた。

 鳩山代表は、北朝鮮の金正男氏と思われる人物の不正入国事件に対する政府の対応を「外務省の事なかれ主義に染まってしまったのではないか」と批判、説明を求めた。これに対し、小泉首相は「法令に基づいた処理を行うとともに、処理が長引けば内外に予期しない混乱が生じるおそれなどがあり、今回の処置は適切だった」と述べるにとどまった。

 また鳩山代表が北方四島の帰属問題解決をめぐる「二島先行」「四島の帰属優先」の外務省の路線対立に対する小泉内閣の姿勢をただしたのに対し、田中外相は「二島先行返還という提案はロシアに対して一度もしていない」とはぐらかした。

 外交機密費問題について、鳩山代表が民主党が用意している「機密費削減法案」に賛成するよう求めたが、小泉首相は「国会の審議の場においてご議論いただくべきもの」と答えただけだった。

 鳩山代表は、最後に、小泉首相が所信表明演説で紹介した「米百俵」の話について、「百俵どころか子どもたちに借金まで背負わせて、ついには日本そのものを食い物にしているのが自民党政治そのもの。米百俵の教訓はあなたの足元の自民党こそ胸に刻まなければならない話」と指摘。「民主党は自立と共生にもとづく市民が主役の社会、そしてすべての人に公正であることを約束する社会を実現する」と宣言して、質問を終えた。

関連URL
  所信表明演説に対する代表質問と答弁(全文)
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=8795
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