トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2001/05/14
衆議院予算委で「直人」と「変人」初対決〜菅幹事長VS小泉首相
記事を印刷する

衆議院予算委員会で小泉首相ら全閣僚が出席しての基本的質疑(総括質疑)が14、15日の両日行われ、民主党・無所属クラブからは菅直人幹事長、岡田克也政調会長、池田元久、海江田万里各衆議院議員が質問に立ち、小泉首相らの政治姿勢や改革の具体策を追及した。

 野党側のトップバッターとして質問に立った菅幹事長は、冒頭、小泉内閣の支持率が80%を超えるなか、小泉さんの悪口を言うとけしからんとするムードがあるとしつつ、「国会は徹底的に議論する場だ。多少厳しいが手心を加えない議論を展開する」と宣言し、質問に入った。

 菅幹事長はまず、「森派の会長であった小泉さんが派閥を離脱して総理になっただけなのに、国民は自民党政権から他政権に変わった、本格的な政権交代のような感覚で受けとめている。ここに小泉マジックのすざましさがある」と指摘。「自民党を壊してでも改革する覚悟はあるか」と質した。

 小泉首相は「私が総裁になったのが大きな変わりよう」とし、「人事が大幅に変わり、政策についても変化を真剣に受け止めようとする姿勢がでてきた」と答えた。

 11日に下されたハンセン病判決について、菅幹事長は「行政だけでなく、国会・立法府の責任を認めた判決であるから、控訴するかどうかも含め、国会の意見も聞くべき」と迫った。小泉首相が指摘も含めて検討するとしたのに対し、菅幹事長は「立法府がらい予防法廃止を少なくとも1960年に廃すべきだったとの判決を下したからにはだまって従うべき」と考えを示し、重ねて国会で検討すること、さらに元患者のみなさんと直接会うことを強く求めた。これに対して首相は、前向きに検討するという言葉にとどめた。

 続けて首相公選制について、菅幹事長が「アメリカの大統領制のようなものか、議院内閣制を維持するなかで首相だけ公選にするイスラエル型か」と見解を求めたところ、首相は「どちらでもない日本型。天皇制と矛盾しない首相公選制。懇談会を立ち上げ、検討していく」と答弁。数名の国会議員による推薦が候補者要件となるとしただけでが、具体的な内容は示せなかった。

 菅幹事長は、さらに小泉首相が靖国神社に公式参拝する方針を表明していることについて、 内閣総理大臣は国の機関だとの内閣法制局の見解を確認した上で、「“国および機関は宗教活動をしてはならない”とする憲法20条に違反する」「A級戦犯の合祀についての考え方は?」と質した。首相はこれに対し、「戦没者にお参りすることが宗教的活動だと言われればそれまでだ」と開き直り、「参拝することが憲法違反だとは思っていない。A級戦犯が祭られているのが問題とも思わない」「戦没者に心からの敬意と感謝をささげるために参拝するもの」と論点をそらした。菅幹事長はこれらについて「戦前の戦争責任について戦後の政府が一環して判断を下していない。そのけじめのなさが、この問題が現在まで尾を引いている原因」として、小泉政権下で明確にするよう求めた。

KSD問題に関連し、幽霊党員による党費の立替えが明白になった際、返却するか迫ったのに対し、小泉首相はこれまでの森前首相同様あくまでも明確なコメントを避けた。

 また、菅幹事長は北朝鮮の金正日総書記の長男と見られる男性らが不法入国を図った件についても質問。本人と確認できたか、過去3回の入国記録を確認できたか質したのに対し、小泉首相・森山法務大臣・田中外務大臣ともあいまいな答弁を重ねるだけだった。

 続けて、田中外相が来日したアーミテージ米国務副長官との会談を急遽キャンセルした問題について、外相に理由を質した。田中外相は、「疲労が重なっていたときに、(外務省の)特殊な幹部の、特殊な雰囲気の中に飛び込み、パニックになっていた」などと自身の"多忙さ"を強調しながら、当時の時点では会談はまだ調整中だったのでキャンセルしたことにはならない、と主張した。菅幹事長は、「一国の外務大臣がパニックでは困る」とたしなめながら、重要案件を持って来ている要人なのだから、当時調整中だったとしても会うべきだったと、あらためて外相の対応を批判した。

 さらに菅幹事長は、首相が掲げる「聖域なき構造改革」の内容について質問。郵便貯金を原資とした財政投融資制度にからむ特殊法人のあり方について、「ゼロベースで見直すと言うが、現状をゼロとするのか、それとも白紙でゼロから考え直すということか」と問い質した。首相は「既存の法人の統廃合を含めて全面的に見直すということだ」と述べ、民主党との共闘の可能性にも言及した。菅幹事長は、「本気でやるなら、法案を出すべきだ。自民党の反対があっても出せるのか」と、さらに追及。首相は「自民党も変わろうとしている」などとはぐらかした。

 「増税なき財政再建」をめぐっては、公共事業費の大幅な削減なくして実現不可能だと指摘。道路特定財源の一般財源化やコンクリート・ダムから緑のダムへの転換などを求めた。また、自民党の「ムダな公共事業発生装置」を崩すため、せめて参院選の比例候補に名を連ねている数人の公共事業関係者については入れ替えたらどうか、と迫った。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.