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2001/05/15
「自民党変えるなら今すぐ派閥解消を」衆院予算委で岡田政調会長が迫る
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民主党の岡田克也政策調査会長が衆議院予算委員会で14,15日の2日間にわたって約2時間の質問に立ち、派閥やカネにまつわる自民党の党内構造改革問題や、外交、社会保障を中心に小泉首相らの姿勢を追及した。

 14日の質疑では、岡田議員はまず、「派閥あって党なし、派閥あって国なし。国民の多くは自民党に怒りを感じている。今こそその声に真剣に耳を傾けなければならない」との自民党総裁当選後の小泉首相のコメントを引き合いに出し、「派閥解消が総理のやるべき第一のこと」と主張。過去に自民党が何度も派閥解消を党議決定していることを例に、「派閥が日本政治を歪めているのなら、どうして今すぐできないのか」と首相に迫った。首相は「だんだん派閥が意味の内容にするのが私の責任」と述べたものの、ただちに派閥解消することには「余り性急に考えないでほしい」と及び腰だった。
 
また岡田議員は、内閣は派閥を超えて作られることは評価しながら、一方で副大臣や政務官人事が派閥均衡で決められることを指摘。「大事な政府のメンバーをどうして自らのリーダーシップで決めないのか」と批判した。首相はこれに「政党の長として、独断専行に陥ってはいけない。『大事争うべし、些事構うべからず』(大事なことは争うが、細かいことにはとらわれない)だ。幹事長に任せた」と弁解。すかさず「副大臣や政務官は些事か」と岡田議員は反論。副幹事長人事も同様だとして、「国民はだまされている。頭の部分だけ変わっているが、胴体以下は従来と同じだ」と批判した。小泉首相が「一朝一夕にはいかない。時間をかけてあるべき姿に持っていく」などの消極的なコメントを連発。岡田議員は「思い切って変えるから国民は拍手している。時間をかけて秩序を重んじて、挙党態勢でなんて言ったら従来とどこが違うのか」と断じた。

派閥主催の資金集めパーティーについても、「禁止すべき」とする岡田議員に対し、首相は「事務所運営のための経費だ」などとやめる考えのないことを明らかにした。

 財政構造改革について、岡田政調会長は「財政の構造改革と景気回復は同時に追及してこそ目的が達成できる」との民主党の主張と小泉首相の主張は同じだと指摘。その上で、鳩山代表が代表質問で取り上げた国債発行額を30兆円以内に抑える法案を提出したことを紹介し、小泉首相に賛成するかどうかをただした。ところが首相は「別に法律にする必要はない。内閣で方針をきめ、趣旨を生かすような予算編成をやる」と答弁し、賛否を明確にしなかった。岡田政調会長は「法案を出しなさい、それを見て判断するといったのに、今更何で出したのと言われても困る」と困惑の表情だった。

 また岡田政調会長が「削減のつじつま合わせのため隠れ借金方式はやらないと約束するか」と迫ったが、首相は「できるだけ明らかにしてご理解を得られる」と述べたものの、塩川財務相は「そんな単純なものではない」と煮え切らなかった。

 民主党がめざしている5年以内の財政のプライマリーバランスの均衡についても、小泉首相は「5年以内で回復するのは相当きつい」との見解。

 さらに、岡田政調会長は「厳しい財政状況の中で今年度予算は『聖域』か。整備新幹線の着工を凍結し、減額補正をすべき」と主張したが、「今後の検討課題」などと一般論に終始。さらに「静岡空港も止めるべき」と迫ったところ、扇国土交通相は「聖域を認めないということだから全部見直す」と断言した。


 翌15日の質疑で、岡田政調会長はまず外交問題から議論を始めた。アメリカのブッシュ大統領が提唱した戦略的枠組みについて、岡田政調会長は「冷戦後の枠組みを変える非常に大切な提案だ」と評価した上で、田中真紀子外相に見解をただした。ところが外相は、「事務方からまだ報告を受けていない」と答弁を再三拒否。「こういう大事な問題について外務大臣としての見解を持っていないとは信じられない」と岡田政調会長が抗議しても、外相は事務方に責任転嫁する答弁を繰り返した。政調会長は「機密費問題などを徹底的に解明しようと言う姿勢には敬意を表するが、今の話では日本に外交がないと言わざるを得ない。事務方が、事務方がとおっしゃるが、あなたの責任だ」と厳しくたしなめた。

 集団的自衛権の問題で、岡田政調会長は「国会決議で解釈改憲をすることには絶対反対だ。やる必要があるのなら国民的理解を得て憲法改正でやるべきだ」と主張、小泉首相も同調した。

 規制改革については、岡田政調会長は一例として「酒販店に酒販管理者をおくことを義務づける法案をあげ、「コンビニをターゲットとした法案。未成年者に対する酒販売の規制という社会的規制に名を借りた経済的規制強化の典型例だ」と厳しく批判、小泉内閣では取り上げように要求した。

 また岡田政調会長は、無認可保育所の問題について、児童福祉法改正で届け出を義務づける民主党の提案を紹介。また、育児休業制度充実に関して、子どもの看護休暇を政府提案の「努力義務規定」ではなく、年間10日程度の看護休暇を認めるべきと主張。政府は「まず第一歩」と煮え切らない答弁だったが、岡田政調会長は「思い切って大きな一歩を踏み出すべき。日本だけが育児期間中の女性の就業率が低い」と述べ、積極的な取り組みを求めた。

 岡田政調会長は最後に医療制度改革を取り上げ、かつて小泉首相は厚相在任時に医療制度の抜本改革と薬価問題をいずれも先送りし改革を実現しなかったとして、「今回はできるのか」と実現を迫った。小泉首相は「せっかく総理大臣に就任したので実現に向けて全力を尽くす」と約束。
特に、医療費の分配を決める中医協の委員構成について、岡田政調会長は「利害関係者が多数を占める状況はぜったいにおかしい。中立委員を過半数にすべき」と、実行を迫った。しかし、小泉首相は「より透明性、信頼性、中立性を高めていく検討を進める」とあいまいな答弁。岡田政調会長は、「詰めないと非常に前向きなことを言われるが、詰めていくと、いやもう少し時間をくださいと言う。このパターンで表現だけでごまかされている感じがする」と首相の答弁ぶりを批判した。
そして、「医療改革は小泉首相のリトマス試験紙。どこまでできるかで首相の基本的姿勢が決まる」と述べ、質問を締めくくった。

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