国会に提出されている個人情報保護法案について、民主党は6日、ネクストキャビネット主催で「個人情報保護法シンポジウム」を東京・永田町の憲政記念館で開いた。政府案では報道機関に対しても「利用目的による制限」など基本原則を適用、「表現・報道の自由」や「知る権利」を制約するとの批判が出ている。会場には150人以上の人が集まり、同法案を危険視する声が相次いだ。
最初に、党プライバシー保護法ワーキングチーム(WT)座長の日野市朗衆議院議員から、民主党の対応状況を説明。民主党の考えとして、国民が守るべき指針を示した「基本法」と、個人情報の保護の要請が強い事業者を対象に規制する「業者法」の2本に分け、(1)「自己情報コントロール権」の明確化、(2)独立性をもった「個人情報保護委員会」の新設、(3)適用除外範囲の拡大----を柱とし、報道を含む表現の自由を尊重し、法の適用を受けない内容の「対案」をまとめ、提出する意向を示した。
あいさつに立った鳩山代表は「政府案はメディア規制法案と言った方が分かりやすい。表現・報道の自由が政府の手によって妨げられるのは看過できない」と述べ、政府案を廃案に追い込む方針を表明した。
続いて、WT事務局長の簗瀬進参議院議員をコーディネーターに、パネルディスカッションが行われた。パネラーは作家の猪瀬直樹氏(日本ペンクラブ理事)、毎日新聞東京本社の朝比奈豊編集局次長(日本新聞協会人権・個人情報問題検討会委員)、日本テレビの石井修平報道局長(日本民間放送連盟「報道問題研究部会」幹事)、日本放送労働組合副中央執行委員長の長村中氏、北沢義博弁護士(日本弁護士連合会「情報問題対策委員会」副委員長)、民主党の岡田克也政調会長の6人。
各パネリストからは、政府案の問題点について、それぞれの立場から指摘があった。「政府案では個人情報取扱事業者の定義があいまい」との問題提起があり、猪瀬氏からも「報道機関にはフリーは含まれず、適応除外もこれでいいのか疑問」といった声があった。法案化にむけてのヒアリング対象にもジャーナリストは含まれておらず、表現の自由への共通理解がないまま成立された法案であることも明らかになった。また、フリージャーナリストの方からは、「メディアや報道機関だけでなく、会社に所属する個人がやりとりするメールまで規制される恐れもあり、個人の言論もしばられる危険性がある」との指摘があった。さらには、「そもそもどこまでがプライバシーかといった判断を第三者が下すこと自体が問題」といった指摘が相次ぎ、政府案は廃案にすべきとの声が多数をしめた。
そうした声を受け、岡田政調会長は「政府案をつぶす方向で努力する」とコメント。石毛えい子男女共同参画・人権・消費者NC大臣も廃案にむけ、ゼロベースで見直すとの方向性を示した。
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