有明海再生特別措置法案づくりに現地漁民や市民の意見を反映させようと、民主党の有明海漁業被害対策・諫早湾干拓事業見直し本部と農林水産部門会議法案作成チームは2日、福岡県大川市の産業会館で「有明海法案ヒアリングin福岡有明」を開催した。
ヒアリングには、民主党から同本部長である菅直人幹事長と佐藤謙一郎、古賀一成、原口一博、楢崎欣弥、岩本司の各議員が出席、コーディネート役として有明海漁民・市民ネットワーク顧問の錦織淳弁護士も参加した。会場には、有明海で漁業を行う漁民など200人が参加し、20人が意見を表明した。
ヒアリングの冒頭、民主党案を説明した佐藤議員は、5月28日に提出された自民党案について「要するに補助率をかさ上げして補助金をばらまき、諫早干拓反対運動を鎮静化させようというもの。また、新たな補助事業によって生まれる特需を族議員の利権として欲しいままにしようとするものだ」と厳しく批判。対案として提出する民主党案では諫早湾干拓事業を3年間凍結し、有明海の水質汚濁と諫早干拓事業の因果関係を調査するための委員会の設置を盛り込むとともに、有明海再生のための緊急事業の内容については、「今日この会場にいる漁民・市民の日々の営みの中から出された意見を踏まえて環境と漁業の再生への道筋をつけていきたい」と述べた。
会場からは、「海は人の手を加えないのが一番だ」「のり、漁業などの立場の違いを捨てて、一致団結して天然の有明海に戻そう」「先例として瀬戸内海保全法があるが、何ら民間による開発の歯止めにならなかったことの反省から出発すべきだ」「目先の補助金よりも10年、20年先の子や孫の代に有明海の豊かな自然を残すことこそ重要」などの意見が相次ぎ、具体的に法案に盛り込むべき措置についても「有明海における埋め立て、干拓などの開発行為や砂の採取を一切禁止すべき」「川などから有明海に流れ込むごみについての対策を講じることが必要」「干潟の定義とその有用性を法律で明確に規定することが干潟の保護、再生にとって重要」「委員会の構成員は魚連幹部など一部の利害関係者でなく公正な学識経験者とすべきだ」などの提案が示された。
|