1)法案提出の趣旨
わが国の警察や検査庁での取調べは密室で行われ、弁護人が立ち会えない上、取調べの状況が録画・録音されることもありません。これでは、自白の強要から冤罪事件につながりかねません。また、調書の信頼性をめぐって裁判が長期化することもあります。
取調べの透明性を高め、裁判の迅速性を高めるために、取調べ段階での弁護人立会権の確立と取調べの可視化を確保する刑事訴訟法の改正が必要です。また、今国会で提出された未決拘禁者法案(閣法)は代用監獄を認める内容であり、そうであるならばなおのこと、取り調べの可視化の必要性が高まり、この法改正が急務と考えます。
2)法案概要
弁護人立会権: 取調べの際、被疑者又は弁護人が求めたときは、弁護人の立会を認めなくてはならない。逮捕、又は勾留されている被疑者が弁護人の立会を要求し、被疑者に弁護人がいない場合は弁護人が選任されるまでの間、取調べを拒むことができる。
立会権の告知: 取調べの際は、被疑者に対して弁護人を取調べに立ち会わせることを求められる旨、告げなくてはならない。
ビデオ等の録画による取調べの可視化: 取調べの際は、被疑者の供述、及び取調べの状況のすべてを映像及び音声を同時に記録しなければならない。但し、被疑者の申立てがあった場合のみは音声のみを記録する。
弁護人の立会のない自白およびビデオ等の録画のない自白の証拠能力の否認: 上記1、3に違反した取調べにおいてなされた自白は、証拠とすることができない。
保釈不許可要件の厳格化:保釈請求があった場合は、被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる充分な理由があるとき等を除いて許可しなければならない。
3)提案者
河村たかし、高山智司、細川律夫
4)経 緯
2003年7月 衆議院に刑事訴訟法改正案(取調べ段階での弁護人立会権)を提出
2003年10月 衆議院解散につき廃案
2004年3月 衆議院に取調べの可視化に関する条項を追加した刑事訴訟法改正案を提出
2004年4月 衆議院法務委員会にて提案理由説明、質疑を行なうも否決
2005年4月6日 『次の内閣』閣議にて法案提出了承
2005年5月12日 衆議院に法案提出。未付託未了(廃案)
2006年3月29日 衆議院に法案提出(予定)
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