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2002/06/11
【衆院厚労委】健康保険法等改正案をめぐり、参考人が意見陳述
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 11日、衆議院厚生労働委員会で健康保険法等の一部を改正する法律案をめぐり、参考人の意見陳述が行われた。

 まず、日本医師会副会長の青柳俊氏は情報開示は相当進んでいるとし、「今後とも推し進めていきたい」とした。また、医療を弱肉強食型の市場原理体制の提案があるが、「国民の代表である国会議員は方向性をまちがわないで医療制度改革を進めてほしい」などとした。

 続いて健康保険組合連合会副会長の下村健氏は「(日本社会全体で)社会保険制度の将来に対して危惧の念、不安感が強まっている」と述べ、その不安を解消するために、医療保険制度全体の将来にわたる安定を可能する制度改革の実現を望む、とした。また、患者個人負担増については「将来のために現状を抜け出すには必要」と指摘。ただ、高齢者医療制度の解決が急務だとし、年金生活後の医療制度の確立を求めた。

 また全国市長会国民健康保険対策特別委員会委員長で高知市長の松尾徹人氏は、国民健康保険加入者のほぼ半数が無職者であり、保険料負担感は非常に重いと分析。保険料収入の確保が困難になり、多くの市町村が一般会計からの繰り入れで運営してきたが限界だと指摘。医療保険制度の一本化を見すえた財政の一本化が必要だと主張した。同時に「老人医療の将来像が見えない中、対象年齢の引上げだけは疑問だ」と提起した。

 連合副事務局長の村上忠行氏は「今回の改正法案は国民への大幅負担増による当面の財政対策にすぎない」と指弾。また、患者負担増により、景気の低迷を長期化する恐れがあると指摘した。

 さらに全国保険医団体連合会会長の室生昇氏は「今回の法改正は日本の国民の命と健康をより深刻な状況に導くものである」と問題視した。とりわけ、自己負担増により受診を控える人が増加する恐れがあることを指摘するとともに、慢性病患者の増加につながる危険性をも示唆した。

 最後に、医療情報の公開・開示を求める市民の会事務局長の勝村久司氏は、レセプト、カルテ等の医療情報開示の重要性を指摘。情報の開示により、架空請求を阻止することにつながるとした。また、不本意な医療を患者自身が防ぎ、医療単価を国民のニーズに合うようにするためにも、単価の提示が不可欠だとした。

 質疑に立った民主党の鍵田節哉議員は「患者負担増は医療制度のあり方、日本経済にも大きな影響を与えるとの懸念があり、改革案は実効性がないとの指摘があった」と参考人の意見を概括し、それらに沿った方向で議論したいとした。鍵田議員は、村山氏の指摘のとおり、改革は5年間放置され、今回の法改正でも改革の中味が見えず、負担増だけが求められる現状に懸念を示した。その上で、早急な改革こそがまず必要であり、負担のあり方は改革後に検討されるべきだと主張した。

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