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2002/06/13
【衆院厚労委】宇都宮公聴会、天下りの弊害や患者負担増に批判
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 健康保険法改正案を審議している衆議院厚生労働委員会の地方公聴会が13日、名古屋市と宇都宮市の2会場で開かれた。宇都宮公聴会では、地元の宇都宮市長や医療機関関係者ら6人が意見陳述、民主党からは釘宮磐、水島広子の両議員が参加した。

 与党側推薦の意見陳述者のうち足利赤十字病院名誉院長の奈良昌治氏は、「国民皆保険制度に支えられた日本の医療は世界一だが、保険者の種類が多く、負担と給付の格差が大きい。全国民の医療保険を一本化する抜本改革が必要であり、本人負担を3割に揃える今回の改正はその一歩」と陳述。栃木県トラック協会会長の関谷忠泉氏も、「高齢者を支えてきた若年自身が高齢者になったときに支えてもらえないようではいけない。党派を超えてなんとしても改革法案を通してもらいたい」と陳述。また、宇都宮市長の福田富一氏は、「市町村国保は無職者や高齢者が著しく増加して保険税確保が難しくなっており、一般会計からの繰り入れももはや限界。今回の改革は、内容的には必ずしも十分とは言い難いが、国保財政基盤の強化は急を要する」と法案の早期成立を訴えた。

 他方、野党側が推薦した耳鼻科医の金子達氏は、「厚生労働官僚の天下りによる癒着がムダを生んでいる。適切なレセプト・チェックや漢方薬の活用などで医療費はもっと減らせる。今週末にも野党抜きで強行採決を予定しているとすれば、きわめて残念だ。十分な審議を経てよりよい法案にしてほしい」と陳述。栃木県保健医療生協専務理事の柴野智明氏は、「サラリーマンの本人負担は計算上1.5倍だが、高額の医療費を払っている人の負担額は非常に重くなる。これ以上の患者負担は患者を病院から遠ざけ、症状の悪化でかえって医療費を増大させる」と多数の実例を挙げて指摘。医療法人喜望会理事長・おおやま城北クリニック院長の太田秀樹氏は、「今回の法案で本当にムダが省かれ、合理的効果的な医療提供につながるのか疑問」とし、自らの経験も踏まえ「在宅医療の推進こそ患者中心の医療であり、ムダな医療費の抑制にもつながる」と提言した。

 水島議員は、医療費のムダを生んでいる悪徳診療機関の淘汰策について金子医師に、終末期医療のあり方の見直しについて奈良名誉院長に、保険者機能のあり方について福田市長にそれぞれ質問。金子医師は、「いろいろな意味で情報開示が重要で、あとは自然淘汰を待つしかなかろう。ただし、言語道断なことをやっている悪徳医療機関については、地元の医師会内部で厳しくセルフコントロールする仕組みができないか」と述べた。奈良名誉院長は、「終末期医療の問題は非常に難しい。『私はいつ死んでもいい』といいながら病院にかかる患者や、奇跡的に回復するケースもあり、医療機関としては全力投球になってしまう。『万一の時は何もしてくれるな』という意思表示をしてもらうことが重要だろう」との見方を示した。福田市長は、国保保険者である市として小児の深夜診療、高齢者のいきがい対策事業、健診の受診率アップに取り組んでいることを紹介した。

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