民主党の菅直人代表は18日、2003年度定期党大会で挨拶し、「『生活者、納税者、消費者の立場を代表する党』の原点に立ち返って、国民の気持ちを大切に受け止め、政治に反映できる民主党をめざして全力を挙げる」と党改革への決意を表明するとともに、「小泉自公保政権に代わる選択肢として国民に認められれば、われわれの悲願である政権交代が、今年必ず実現すると確信している」と述べ、民主党の一致結束と反転攻勢を訴えた。
菅代表はまた、20日から始まる通常国会での論戦に向け、経済問題、国際情勢、政権交代などについての政治姿勢と具体的取り組みを表明した。経済問題については、日本経済が行き詰まった原因を、税金の使い道が間違っていたこと、価値観の変化によるモノからサービスへの需要の変化に政府も産業界も対応できていないこと、少子高齢化の急激な社会変化に対応できず、将来の不安が解消できていないこと−−の3点に集約。このような認識に立って、「予算の内容を国民の生活に役立ち、投資効果があるものに変えていく」べきだとし、具体的に次の7項目を「日本経済再生プラン」として提案した。
(1)雇用誘発効果の高い事業に優先的に予算を配分する。例えば、保育園やグループホームの拡充、治安確保のための警察官の増員など。(2)公共事業はコンクリートのダムに替わる「緑のダム」として山や森の保全事業など環境保全型で雇用誘発効果の高いものを優先する。(3)住居環境を倍増するため良質の賃貸住宅の建設をあらゆる政策手段を動員して促進する。例えば、バリアフリーなど一定の基準を満たす賃貸住宅には社会的インフラとして補助金をつけ、税制上の優遇措置をとる。(4)株式、社債、投資信託などリスク商品の配当・利子や相続税の税率を軽減する投資優遇税制を実施し、高齢者の余裕資金が中小ベンチャー企業に回るように直接金融市場の改革を推進する。(5)自治体への事業ごとの補助金を原則廃止し、ひも付きでない包括補助金に変える。将来は、国の仕事は外交防衛などに限定し、国直轄事業を地方自治体に移管して、自治体への財源配分を大幅に増やす。(6)公共事業請負企業からの政治献金の禁止とその企業への官僚の天下りの禁止。(7)省庁ごとの下から積み上げる官僚主導の予算編成を抜本的に改め、内閣に数人の大臣からなる予算小委員会を作り、閣僚主導で予算編成を行う。
国際情勢については、イラクへの国連査察の結果を待たず、新たな国連決議もないまま米国が一方的にイラク攻撃に踏み切ることについて「断固反対」と表明。先の通常国会から継続審議になっている有事法制に関しても、民主党として「緊急時の国民保護のあり方を含めた包括的な緊急事態法制を、今国会の適切な時期までに国民の皆さんに提示したい」と表明した。
政権交代への具体的道筋については、幅広い国民との協力関係を強める必要があるとの認識のもとに、「分権改革を進める知事や市町村長、需要拡大を望む経済界、雇用確保を至上命題とする連合など労働界、経済政策の転換を求める学者やアナリスト、行政から自立して活動しているNPOグループなどの国民的エネルギーを結集し、政権交代によって日本の再生をめざす『小泉デフレ阻止国民会議』とでも名付けるべき運動を呼びかけたい」と提案した。
|