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2001/11/09
<補正予算>過去の延長型の雇用政策では限界〜今泉昭参議院議員が代表質問
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民主党の今泉昭参議院議員は9日、参議院本会議で塩川財務相の財政演説に対する代表質問を行い、小泉内閣の政治姿勢、補正予算、雇用対策、中小企業対策について、現状を追及した。

 今泉議員は冒頭、発足後半年を経過した小泉内閣について、「構造改革の目標として掲げられた5項目の美辞麗句とは裏腹に、経済は低下の一途をたどり、失業率は上昇し、一日に100人を超える自殺者が出ている」として、こうした状況への小泉首相の所見を質した。

 小泉首相は「これからも各指標の注視が必要」としながらも、我が国経済の潜在力は充分にあるとの見方を示し、それを活かすことが経済再生・改革につながるとした。

 今泉議員は続けて「骨太の方針・改革工程表・改革プログラムを誇らしげに示しているが、まるで絵に描いた餅だ」と批判。「内閣の状況説明も“見直し検討を開始”といったものばかりで、何もしていないも同然」と追及した。これに対し首相は、日程経過を事務的に説明した上で、「改革なくして成長なしの決意のもと、基本的な成長力を高めるための改革に着実に取組む」とするだけで、今泉議員の指摘そのものの、“何もないも同然”の答弁だった。

 次に、塩川財務相に、「財政赤字の中、当初は補正予算に消極的であった大臣がなぜ方向変換したのか」と理由の提示を求めた。また、1・7%の実質成長を見込んで組まれた当初予算が、現実には4年連続のマイナス成長が見込まれ、併せて、米国同時多発テロや狂牛病問題により未曾有の落ち込みが予想される中、「打開案の再検討が必要」と提起した。

 今泉議員は、雇用対策にも言及。9月に失業率が5・3%を突破し、求職活動を止めた人を含めると10・4%の失業率となる状況を示し、「過去7回の雇用対策と何ら変わることのない内容で、この事態を解決できるのか」と迫った。特に、IT戦略と製造業の組み合わせを怠ったことが、製造業の空洞化を招いたとの見方も示した。

 その上で、「補正予算に雇用対策費として5500億円が計上されているが、その中身は新たな緊急地域雇用創出特別交付金。96年に出された緊急雇用対策の焼き直しで、何ら新しいものではない」と指摘。「失業者の役に立ち得ない」と批判した上で、抜本的な見直しの必要性を提起し、同時に、「政府がリードしてワーク・シェアリングの実現をめざすべきだ」と求めた。

 続いて、今泉議員は、失業やリストラなどによる年収の大幅減少により、住宅ローンや学費の支払いが困難になった人への補助制度の必要性にも言及。早急な政府の措置を求めた。

 さらに、今泉議員は「きびしい不況のなか、中小企業金融政策の充実が緊急課題だ」と主張。前国会で民主党が提出した「地域金融円滑化法案」を示し、「貸し渋り・貸しはがしを是正し、金融機関が地元の中小企業に積極的な融資を行う、有益な存在になるための環境ができることを確信している」と説明。貸し手の責任を明確にすることで、事業者がむやみに貸し渋りに会わないためのセーフティネットの確立、個人保証のいらない事業者ローンの実現、直接金融市場の整備、ベンチャー税制の強化を提言した。

 また、今泉議員は中小企業政策や産業政策を進めるにあたっては、ものづくり産業の振興に重きをおくべきとの考えを示し、「日本政府にはものづくり産業に関する戦略が欠落している」と指摘。伝統的産業とITを融合させる切り口の必要性も提起した。

 最後に今泉議員は、昨今の田中外相の行動について、「外務省の混乱によりいたずらにテレビのワイドショーの材料にされ、諸外国の失笑を買うだけだ」と指摘し、小泉首相に聖域なき改革を断行するには、まず外務省の改革こそ必要だと述べた。

 小泉首相は早口で原稿の棒読みに終始。住宅ローンへの補助制度に関する答弁では、時間の都合で飛ばした原稿を再度読み上げ、混乱する一幕もあり、相変わらず誠意のない答えが続いた。

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