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2001/11/16
抜本的なセーフティネット整備のための「能力開発支援法案」を提出
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民主党が議員立法でまとめた「雇用保険の財政の安定化及び休職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案」(能力開発支援法案)が16日、衆議院本会議に上程された。

 この法案は、政府提出の「経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案」(雇用対策臨時特例法案)が、現下の厳しい雇用失業情勢への対応としては不十分であるため、抜本的なセーフティネット整備のための緊急措置として打ち出されたもの。

 法案の趣旨説明には、この法案の取りまとめの中心的な役割を担った城島正光議員が立った。【写真左】まず9月の完全失業率が過去最高の5.3%に達したことに示される雇用情勢の悪化の中で、政府の責任による抜本的なセーフティネット整備を通じて国民の不安をできるだけ取り除くのが政治の使命だと主張。そうした認識に基づいて、休職者等能力開発支援制度および失業等給付資金の創設を柱とした能力開発支援法案の骨子を説明した。

 休職者等能力開発支援制度は、失業等給付が終了した非自発的失業者や一定の自営業廃業者などに、能力開発訓練の受講を条件にして最長2年間の能力開発手当を給付するというもの。また、失業等給付資金は、雇用保険の制度的安定を図り、給付を受け取ることができないという不安を解消するため、一般会計から2兆円規模で拠出する。

 城島議員は、これらの措置を通じて個人の自主的なキャリア開発を積極的に支援し、21世紀にふさわしいセーフティネットを築いていきたいと述べ、法案への賛同を呼びかけた。

 その後、両法案に対する質疑が行われ、民主党・無所属クラブからは三井辨雄議員が質問に立った。【写真中央】

 三井議員はまず、「雇用政策とは単なる失業対策ではなく、新しい雇用と産業分野を創出することが王道」と述べ、21世紀に相応しい産業育成のビジョンを小泉首相に質した。首相は、「21世紀成長産業」としてIT、福祉、環境などの分野を挙げ、それらを支援していく意向を述べるにとどまった。

 次に、セーフティネットをめぐって、国のエネルギー政策の転換を背景に多くの炭鉱労働者が離職・転職を迫られた昭和30年代の経験を振り返りながら、政府法案は「失業者一人ひとりの人生を背負っているという意識に欠けており、不十分」と批判。これで十分な効果が期待できると本気で考えているのかを首相に質した。首相は、補正予算の早期執行をも通じて実効性を確保できるよう努力する、とかわした。

 また、政府の雇用失業対策に対しては、もっと新しい発想が必要だとし、ハローワークできめ細かい職業紹介などができないのなら、民間や地方公共団体に託すべきではないかと質した。坂口厚労相は、ハローワークの機能強化においては民間の人材や手法を導入していく考えを明らかにした。

 政府案の具体的内容をめぐっては、職業訓練の受講を条件とした保険給付拡充や45歳以上の派遣労働の延長といった対策によって、どれだけの雇用創出効果を見込んでいるのかを質した。また民主党法案に対しても、新しい時代の労働形態とそれへの対応について見解を求めた。

 坂口厚労相は、派遣労働延長などによって新たに創出することを見込んでいる年間雇用はわずかに1万人程度であることを明らかにした。

 民主党法案の共同提出者の大島敦議員【写真右】は、雇用保険財政の安定化と能力開発支援を、雇用創出型ワークシェアリングや成長産業育成の起業支援などとともに推進し、持続的発展を基調とする21世紀の社会像の実現をめざすという展望を提起。政府の対策は従来の対症療法的政策の延長でビジョンがない、と批判した。

 さらに三井議員は、石油代替エネルギー確保のための新たな石炭産業の創出を提案し、関連の技術研究・開発への後押しを政府に求めた。平沼経産相は、総合エネルギー安保の観点から賛同の意を示し、炭鉱技術の継承をめぐっては参炭国を対象にした研修制度を発足させたことを明らかにした。

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