衆議院予算委員会で27日、平成14年度補正予算に関する締めくくり質疑が行われ、民主党の原口一博議員が質問に立った。
原口議員はまず、小泉政権発足以降の名目GDP増減、国債発行額、完全失業率最悪値、株式時価総額増減などの実績をバブル崩壊後の歴代政権と比較し、「最悪だ」と指摘。その結果、地域経済は“火の車”であり、「小泉首相には早く辞めてもらいたい」という声が渦巻いているとして、首相の見解を質した。首相は、「経済状況が厳しいからこそ改革が必要」「即効薬はない」などと述べ、最終的には総選挙で国民の審判を問う、と居直った。
原口議員は、「総選挙で信を問うからそれまでは何をやってもいい、ということではない。ここまでマクロ経済政策を誤って、今すぐにできる政策も何もやっていないではないか」と批判。「歳出カットだけして歳入構造改革に踏み込まないから財政赤字が増える。国民を追いやっているから経済は悪化する。消費税は上げないと断言しているが、少子高齢化に向けて財政をどう立て直すつもりか」と追及したが、首相は答えられなかった。
また原口議員は、23日の予算委員会で、民主党の菅直人代表が首相の3つの公約(靖国神社参拝、国債発行30兆円、ペイオフ解禁)の不履行を追及したのに対し、「大した問題ではない」と言い放って国民の批判を受けていることついて、改めて見解を質した。首相は、「不適切な発言だった。反省している。大胆かつ柔軟に対応する場合も必要ということだ」などと“弁解”した。
さらに原口議員は、外交上の基本問題をめぐっても質問。北朝鮮問題では、日朝平壌宣言に至る交渉において、ミサイル発射および核開発に対する明確な中止要求を行わなかったことを厳しく批判した。また、イラク攻撃問題では、国連安保理の新たな決議がないまま米国が攻撃に踏み切った場合の政府の対応を質すとともに、米国の攻撃の背景にある「先制的自衛」を謳った新たな軍事ドクトリンへの評価なども問うた。しかし、首相は「米国に対しては国際協調を呼びかけ、イラクには査察への協力を求めるのが政府の立場」「米国は国際法上の権利と義務に従って行動すると思う」などと繰り返し、独自の外交ビジョンなどまったく持ち合わせていないことをさらけ出した。
最後に原口議員は、政府の金融政策にも言及。大手銀行の自己資本増強の動きに懸念を示しながら、「優良な中小企業が貸しはがしに遭い、日本経済は他国に売られていく。もはや元凶を取り除くには政権を変えるしかない」と強調して質問を終えた。
<バブル崩壊後歴代政権の実績>
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