テロ特措法に基づく自衛隊派遣の国会承認を審議する衆院テロ対策特別委員会で26日、民主党の2番手として質問に立った桑原豊議員は、「いつどういうことがあったら中止したり撤退するのか手続きや要件があいまいだ」と指摘。米国が今後イラクなどを攻撃する可能性などが報じられていることにも懸念を示した。
中谷防衛庁長官は「テロの脅威が除去されたときに法律の目的は達成される」としながら、具体的な要件については「判断は諸般の情勢を総合的に勘案して行う」などと、明言しなかった。
さらに、桑原議員が「米国が正当な活動範囲を超え、過剰な行動に移ったと判断した場合には、支援を止めるのか」と質したのに対し、中谷長官は「国連憲章の元でやっていることが前提だ」とあいまいに答えるだけで、福田官房長官も「具体的な話は予断を持って言うべきではなく、答弁は難しい。個別の事情を、特措法に基づいて、日本の立場を踏まえて自主的に判断する他はない」と桑原議員の疑問には答えなかった。
次に、桑原議員は米国側からの具体的な支援要請の内容を尋ねたが、中谷長官は経過を説明するばかり。イージス艦の派遣については「派遣要請はなかった」としたものの、米国側との協議の経緯は明らかにならなかった。桑原議員は「輸送や補給は米軍のオペレーションで自己完結しているのではないか。本当に必要な支援なのか、今の話では理解できない」と首をひねった。
武器弾薬の輸送や自衛隊機による米兵の輸送などについても、「具体的な内容は固まっていない。今後協議を踏まえて主体的に決定する」「いつどこに何を運ぶかは公表できない」と繰り返すばかりの政府答弁に、桑原議員は「相手国の事情はあるにせよ、こういった最低限のことすら話せないのなら、自衛隊の作戦は軍事作戦そのものではないか」「これまで米軍に対する支援活動は軍事行動と一体ではないと説明されてきたが、どこに行き、何をするのかは明らかにできないのなら、われわれは何が安全なのか判断ができない」と強い口調で抗議。
また、防衛庁長官の実施命令の前に、情報収集活動を理由に護衛鑑が派遣されたことについても、桑原議員は「活動の重要性はわかるが、現行の防衛庁設置法を根拠にして派遣しておいて、途中で切り替えるというのは姑息なやり方」と、防衛庁のなし崩し的なやり方を厳しく批判した。
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