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2001/10/10
衆院本会議でテロ対策特別措置法が審議入り〜伊藤英成議員が代表質問
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内閣提出のテロ対策特別措置法案、自衛隊法改正案、海上保安庁法改正案の審議が10日から始まり、衆議院本会議で法案の趣旨説明と代表質問が行われた。民主党・無所属クラブからは伊藤英成議員(安全保障ネクスト大臣)と末松義規議員が質問に立った。

 伊藤議員はまず、今回のテロに対しては、国連や多国間協議へのイニシアティブ、中東における和平外交の推進、ODAの活用、国際的な裁判のあり方の検討など、外交による非軍事的貢献こそが重要だと指摘し、首相の見解を質した。小泉首相は、外交努力は「当然」としながらも、国際協力の枠組みの中でできる限りの貢献を行うと述べるにとどまった。

 続いて伊藤議員は、具体的な法案の内容について質問。始めに、オサマ・ビンラディン、アルカイダおよびタリバンがテロの犯人・支援者であるとする証拠についての国民への説明を求めた。しかし小泉首相は、日米間では連絡をとっているものの内容の詳細については明らかにできない、とつっぱねた。また、米軍等の攻撃対象がアフガン以外にも拡大した場合の対応について問い質したが、小泉首相は「仮定の問題には答えられない」などと回答を避けた。

 さらに伊藤議員は、自衛隊の米軍等支援を国際的取り組みの枠組みの中に位置付けるのであれば、さらなる国連安保理決議などを求めるべきだと指摘、見解を求めたが、首相は国連憲章の目的に合致する行動だから不要だとした。国会の関与をめぐっても、行動の基本計画や実施計画を承認事項とすべきだと追及したのに対し、首相は、法案の成立自体が支援行動を承認したという意味を持つ、などと強引な論理を展開した。

 また、法案が2年間の時限立法になっているのに対して、状況の変化に対応するために1年間が現実的だと指摘したが、福田官房長官は、必要がなくなった時点で消失するので問題にならないという見解を示した。

 自衛隊の活動地域をめぐっては、「戦闘行為が行われない地域」という規定の曖昧さを問題にし、「戦闘行為」が何を指すのかなどを追及。また、NGOが中心となって支援活動を展開しているパキスタンでは自衛隊の出る幕はないのではないかとして、現地情勢の認識についても質した。小泉首相は、「散発的な発砲や突発的なテロは戦闘行為に当たらない」とし、またパキスタンの情勢については情報を収集・分析していると述べるにとどまった。

 実際の支援活動の内容をめぐっては、すでに自衛隊がC130輸送機でテント315張、毛布200枚を送ったが、100万人にも上る難民への支援としては規模がズレていると指摘。軍隊の展開がかえって現地で混乱を起こしかねない危険がある中で、どのような被災民支援を考えているのかを質した。これに対して、中谷防衛庁長官は、現地の事態の推移を注視しながら考えたいとのみ述べた。

 さらに、武器使用基準をめぐって、内閣法案が新たに「自己の管理の下に入った者」という規定を盛り込んで基準緩和に踏み込んだ憲法上の根拠を質したが、首相は正当防衛や緊急避難と同じく「自己保存のための自然権的権利だ」と述べ、固有の法的根拠を示さなかった。

 最後に伊藤議員は、日本は今後国際社会においていかなる地位を占めようとするのかと問いかけ、軍事的活動は抑制しながら世界平和の構築に努力する国であるべきだという考えを提起。そして、今回の対応においても、パキスタンやアフガニスタンに対する水の確保、土地改良などの復興支援が極めて重要だと述べて質問を終えた。

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