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2001/10/10
首藤信彦議員がパキスタンから帰国〜政府高官、国連関係者と会談
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対テロ報復攻撃をめぐる現地情勢を調査するためパキスタンを訪れていた民主党の首藤信彦衆議院議員は10日朝帰国し、ただちに党本部で帰国報告会を行った。鳩山代表、菅幹事長、羽田特別代表や多くの議員が出席し、生々しい現地のレポートに熱心に聞き入った。

 当初11日に出発することにしていた首藤議員は、国会日程の都合で急きょ予定を繰り上げて7日に日本を出発。フライトが次々とキャンセルされる中、バンコク経由でカラチに入り、空港のテレビでBBC放送が伝える空爆開始の第一報を知った。

 空爆開始を告げるブッシュ大統領のテレビ演説が放送され、「いまこそタリバンは代償を支払うだろう。(And now, the Taliban will pay a price.)」と大統領が語ったとき、テレビの前のパキスタン人たちは一斉に首をふり、顔をそむけたという。その光景を目の当たりにした首藤議員は、「アメリカの攻撃に対する、けっして過激派などではない、パキスタンの普通の人たちの国民感情はこのようなものだ」と語った。

 国内便のキャンセルが相次ぐ中、かろうじて飛んだパキスタン航空の旅客機で翌日早朝にイスラマバード入りした首藤議員は、さっそくパキスタン外務省の、カムラン・ニアズ外務次官補(アジア太平洋担当)と約1時間にわたって会談した。

 同次官補は、日本の経済制裁解除を要請するとともに、「パキスタンは米軍の上陸を許さない。米国側も十分承知して、活動を拡大させて上陸しないだろう」と述べ、米軍がパキスタン国内の基地などを利用することに反対する姿勢を示したという。

 また、同次官補は「アフガニスタンに米軍が入り、基地を作ることにはパキスタンも中国も問題にする」と指摘。将来のアフガニスタンの政権構想については、「アルカイダは消滅すべきだが、タリバンは消滅させるべきではない。ビンラディン氏、オサマ師を排除し弱体化をねらうべき。(タリバン政権の多数派民族)パシュトゥン族が中心でなければならない。北部同盟を構成する民族では国内を治められない」として、北部同盟の拡大には否定的な見解を示した。紛争後のアフガン政府については「国外の臨時政府ではいけない。アフガン国内での諸民族の統合体としての政府が望ましい」と首藤議員に語った。

 同次官補は、「重要なのは紛争後。農業、土地の改革、水の獲得に力をそそいでほしい」と紛争後の支援について要望した。
 
 このあと首藤議員は、カーイデアーザム大学・戦略研究所長のリファート・フセイン博士と会談し、紛争解決やテロ問題の専門家同士として意見交換した。

 この中で、フセイン博士は、空爆後のアフガニスタンの平和の回復について、「非常に困難」との見方を示し、その根拠として、アフガン国内に政府機構と諸制度が存在しないこと、長年の紛争で民族構成が複雑化したことなどをあげた。また、紛争後に膨大な武器が国内に残されることへも懸念を示し、特に対タリバン対策として米国などが北部同盟へ武器供与することは「絶対してはいけない」と断言した。

 また博士はアフガン再建のためには、海外に出てしまった同国の中産階級を呼び戻すことが不可欠と指摘。日本に対しては、「マーシャル・プラン(第2次大戦後のヨーロッパ経済復興計画)のような、“ジャパン・プラン”を作って貢献して欲しい」と述べた。

 「日本の自衛隊の活動に対してパキスタン国内の反発はないのか」と首藤議員が尋ねたのに対し、博士は「パキスタンは日本とアメリカを分けて考えている。日本はアメリカとは違うというプロファイル(表に見える姿)をきちんと見せるべきだ」との考えを示した。

 首藤議員はさらに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のペシャワール駐在事務所の羽生副代表とも会談。パキスタン国内では、空爆開始後、国連機関が現地民の襲撃対象となっており、職員が自宅軟禁状態になるなど治安が悪化している。羽生副代表は危険をおかして事務所まで来て、アフガン内部の様子、難民受け入れの困難さなどを首藤議員に語った。

 羽生氏によると、アフガニスタンへの地上軍の攻撃が始まれば、ペシャワール周辺だけで100万人の新たな難民受け入れが必要になるという。しかし、土地と水の確保が問題で、パシュトゥン族の自治地域では新たなキャンプを設置するのは難しいとのことだった。テントも6万本が必要とされているが、今回自衛隊の輸送機が運んだ数はわずか315本。パキスタンでは「シンボル的なもの」と受け止められているという。

 帰路のフライトもぎりぎりまで決まらず、首藤議員は翌日の最終便で帰国する予定を、キャンセルを警戒し4時間前の便に変更。往路で通ったパキスタン西側航空路がまさにアメリカ軍の空爆ルートとなっており、カラチ経由はキャンセルになるため、東側ルートを通るバンコク経由・香港行きのパキスタン航空で出国することができた。

 1泊4日の強行軍で帰国した首藤議員は、「マスコミの伝える2次情報ではなく、現実に起こっている一次情報をもっと国会の議論に反映させるべきだ。それが新しい政党のあり方だと思う」と語った。

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