情報公開を請求した行政書士に請求を取り下げるよう総務省が日本行政書士会連合会を通じて圧力をかけていたとされる問題について、野党側委員が28日の衆議院内閣委員会で集中的に質疑を行った。
前回の委員会で事実関係の調査を約束していた片山総務相は、この日、ヒアリング調査の結果をもとに、請求を行った行政書士本人が全国の連合会会員らにファックスで開示請求書の写しを送付していたため、総務省からの情報提供がなくとも連合会幹部が請求の事実を知りうる状態だったと指摘、総務省として情報を提供したり圧力をかけた事実はなかったと答弁の中で報告した。
これに対して、民主党の山花郁夫議員は、「情報提供がなくとも知りうる状態だった」ということと、実際に連合会幹部が何によって知ったかは別の問題ではないかと質した。総務省の芳山自治行政局長が「ファックスにより『知り得た』ではなく『知った』」と総務相の答弁を修正すると、山花議員は、細かい日時の前後関係などを精査する必要があるとして、委員会への書面での報告を求めた。片山総務相は、「これだけていねいに報告している。これ以上調査するつもりはない」とこれを拒んだが、山花議員の強い要請に、大畠内閣委員長が理事会で検討すると約束した。
個人情報保護関連法案に関する質疑に移った山花議員は、基本法制である「個人情報の保護に関する法律案」では利用目的制限、適正取得などの規定に違反した民間事業者に対する罰則を設けている一方、行政機関を対象とする「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案」ではこうした罰則が設けられていない理由を法制上の観点から質した。片山総務相や政府参考人は「国家公務員等については国家公務員法等で広く法令遵守義務をかけた上で、守秘義務等の罰則も設けているので問題ない」と答えたが、山花議員は「国家公務員法の規定の保護法益はあくまでも公務員の規律維持や行政の円滑な運営であって、個人の権利利益の保護ではない。個人情報保護は反射的利益にすぎなくなる」と指摘し、議論が平行線をたどった。
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