衆議院武力攻撃事態特別委員会は28日、台湾国家安全局による対日秘密工作資金問題をめぐって、退官直後に同機関から米国留学費用を提供されていたとされる秋山昌廣・元防衛事務次官に対する参考人質疑を行った。民主党からは山田敏雅議員が質問に立ち、台湾側からの資金提供についての認識の有無などについて質した。
山田議員は、台湾国安局の対日工作プロジェクトの一環として台湾運輸機械会社の彭栄次会長が秋山氏のハーバード大学留学(1999年4月より2年間)の費用10万ドルを米戦略国際問題研究所(CSIS)に送金し、そこから大学側に支払わせていたという資金の流れを明らかにした上で、秋山氏がそれを知っていたかを質した。秋山氏は、台湾の関与の問題については今年に入ってから報道を通じて初めて知った、とした。
これに対して山田議員は、秋山氏の留学が決まった経緯、とりわけハーバード大学側から当初「(秋山氏の留学の面倒を見る)お金はない」と言われてどう対応したのかを質問。秋山氏は、そもそも留学については始めに先方から誘いがあったなどとし、費用についても「特別にハーバードで資金を集める、と言われていた」と述べ、どこから集めたかは関知していなかった、と言い張った。
また山田議員は、秋山氏が防衛局長として新ガイドラインの策定に中心的に関わっていた96年1月に台湾駐日代表の林金茎氏と非公式に会談していることを指摘し、「(新ガイドラインで)台湾海峡問題について考慮してほしいと求められたことはないか」と質した。秋山氏は「儀礼的面会だったと思う。話の内容は記憶にない」などと答えた。
山田議員は、在職中に便宜供与があれば、退職後でも事後収賄にあたる場合があると指摘。留学費用が台湾側から支給されていたことについて、元防衛庁事務次官という地位からして、責任を感じるべきではないか、と追及した。しかし秋山氏は、「研究や資金手当について、台湾の誰とも話したことはない」とし、「どうして私が刑法上の問題に答えなければならないのかわからない」などと居直った。
|