トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2001/10/15
<衆院テロ特別委>事前承認だめなら法案に固有名詞入れろ〜首藤信彦議員
記事を印刷する

15日の衆院テロ対策特別委員会で質問に立った民主党の首藤信彦議員は、危機管理問題の専門家としての経験と知識に裏打ちされた鋭い質問を連発した。

 首藤議員はまず、特措法第2条3に挙げられた「戦闘行為が行われず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」の規定について、中央アジアや東南アジアの諸国の状況に触れながら、「テロや地域紛争でそのような地域があるのだろうか」と疑問を呈した。福田官房長官は「その活動をするときの状況、決定するときの状況に従って冷静に判断をする以外にない」と答えたが、首藤議員は「架空の地域、架空の条件の中で法律をつくれるものなのか。これから基本計画を作ると言っても、どこにもないようなところを対象とするのはおかしな法案ではないか」と反論した。

 さらに、法案第3条1の3の「被災民救援活動」中の「被災民」の定義について質問。「報復攻撃によって出てくる難民、避難民を、自衛隊がさまざまな活動をして助けるということか」と首藤議員が尋ねたのに対し、福田官房長官は「人道的見地からあの地域にいる人を助ける」と答弁。「自衛隊がアフガニスタンに入ってそこの避難民を人道的に救援することを意味するのか」と確認すると、「アフガニスタンはこの法律では無理」と否定した。首藤議員は「紛争が起こって被害が出ると、人たちを二つのカテゴリーに分けるのが常識。“難民”は国境を越えた人たちでリフュジーという。“避難民”はIDPと略し、国内にとどまって逃げまどっている人たちを対象としている」と説明し、法案上の定義があいまいであることを明らかに。福田長官は「その定義を先に教えていただきたかった」と弁明するだけだった。

 法案第11条であげられている「武器使用条件の緩和」について、首藤議員は「新しい国連PKOを目指したブラヒミ・レポートでは、管理下にある者を守るために武器を思い切って使用しようとしている」として、中谷防衛庁長官にこの法案での意味あいを質したが、長官は「自衛官と同じ危険にさらされた場合に指示に従う者を守る程度だ」などと答えたため、首藤議員は強い口調で「現場は紛争が終わっても憎しみ合い、殺し合いの精神が残っている。そんなことで自衛官を現場に行かせられるのか。日本の若者をそんないいかげんな条件で送れるのか。銃を水平に構えて撃つような状況が本当にある。そういう状況がこの法律では可能になる」と政府の認識の浅さを指摘した。

 中谷長官は「危険の高い場所では実施しない」とこれまでの答弁を繰り返したが、首藤議員は「基本計画の国会での事前承認が本当に欠くべからざるものだ。そうでないのなら、この法律の中に固有名詞を入れて、歯止めを作るべき」と主張した。

 さらに、テロリストの潜んでいるとされる国の名前を列挙して、「地域を特定しない、それは美しい言葉だが、それでは危機管理にはならない。見えないリスクを察知し、それを予防し、起こったときに緊急な行動をとるのが危機管理だ」と迫ったが、政府側は一般論を述べるだけで議論は平行線のままだった。

 また、首藤議員は、今回のテロ事件の被害を受けたアメリカが使う個別的自衛権について、国連憲章第51条での表現が、国連公用語のフランス語で「正当防衛」(レジテーム・デファンス)とされていることを指摘。「アメリカがアフガニスタンまで追いかけていって、その行為によってたくさんの人が死んでいく。ここまで国連憲章第51条は是認しているのか」と疑問を呈し、「個別的自衛権や集団的自衛権の内容はもっと精査すべき。日本とNATOでは違う」と主張した。

 最後に首藤議員は、アフガン難民のハザラ族の人たちが、タリバンの弾圧から逃れ日本にたどり着いて難民申請したところ、逮捕、収監されている事実を取り上げ、人権面での対応を適切に行うよう政府に求めた。首藤議員は、「これまでは難民は他人がつくったものだった。今回は違う。来るべき大きな難民の波は、原因は我々にもあると考えて、今までとは違ったレベルでの難民対策を日本国内でも行うべきだ」と強調して、質問を終えた。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.