衆院テロ対策特別委員会の最後の審議となった16日、民主党副代表の中野寛成衆議院議員が質問に立ち、連日の議論をさらに深めた。
中野議員は「国際テロへの対応は、国益そして国際社会の平和を考えながら、いかにして心をひとつに国際貢献していくかだ」との姿勢を示し、法案をめぐる鳩山代表と小泉首相との党首会談の経緯に対し、与党側の姿勢に対して「フツフツとした怒りを覚える」と述べた。
民主党が求めた基本計画の国会事前承認について、「単に国会が監視しようというだけではなく、そのリスクを国会も共同で負うために求めたもの」と中野議員は強調。「国会の事前承認を得、国民にも理解してもらうことは自衛隊員の安心にもつながる」とした。武力行使以外は何でもしたいという姿勢が垣間見える小泉首相にも釘をさし、「できてしまうとひとり歩きする法律の危険な側面を考慮しても、国会承認の必要性は欠かせない」と重ねて主張した。
同時に、そもそも党首同士の1対1の議論の場であった会談で、たった2回しか発言しなかった小泉首相に対し、その政治姿勢とリーダーシップのなさに中野議員は大いなる疑問を呈した。
また、テロ対策特別措置法の基本方針として小泉首相が「国際協調の立場から主体的に対処する」と度々口にしている点に言及。「実際には米国をはじめとする外国の軍隊への支援・国連等の要請に基づく行動。到底主体的ではなく、主体的に人に追従しているにすぎない」と矛盾を分析してみせた。
続けて、テロ根絶には武力攻撃だけでなく、テロ組織の資金源を絶つなど、包括的な対応が必要だと指摘。同時に、これを機に国際テロ全体の撲滅に対する国内法の整備や国際社会の申合せなど、充分に検討する必要があると問題提起した。
自衛隊法についても、基本的に有事法制であり、100条などに災害出動などの平時の活動が列記してあるが、「今回のような緊急事態への対応が欠落している」と指摘。“警察が国内を守り、外敵に対しては自衛隊が守る”とする大原則は守られるべきだとしながらも、緊急事態対応として国内外に向けて自衛隊の力を発揮できる法体系の整備が必要だと重ねて訴えた。福田官房長官は「鋭意検討中だ」とした。
同時に中野議員は、自衛隊法の改正は重要課題であるにもかかわらず、今回、テロ対応ということで“にわかじこみ”で改正しようとしている危険性を指摘した。
また、今回の問題の根本原因となっているパレスチナ問題を、宗教的に中立の立場をとる日本が積極外交を展開することで改善していくべきだとした。
さらに中野議員は田中外相に対し、タリバン政権崩壊後のアフガニスタン新政権のあり方をめぐる日本の役割について、「充分な準備と国際協議への積極参加が必要だ」とし、平和貢献にむけての新しい日本の役割の追求を強く求めた。
|