民主党の大塚耕平議員が18日、参議院の財政金融委員会で行われた日銀報告に関する質疑で、当選後初めての質問に立った。
大塚議員は、元日銀マン。その経験にも踏まえながら、参考人として出席した日銀幹部に対して、現時点の金融政策とその問題点をめぐる鋭い質問を浴びせた。
まず大塚議員は、日銀のゼロ金利政策について質問した。日銀は1999年2月からゼロ金利政策を採用し、昨年8月に解除。その後、IT産業を中心とする景気の急激な減速を受けて、今年、当座預金残高の調整を軸とした金融緩和政策に転換した。こうした経緯を確認した上で、大塚議員は、昨年8月のゼロ金利政策解除は時期尚早だったのではないかという認識を示し、当時の政策判断の根拠となったデータについて質した。
速水日銀総裁は、当時、企業収益が増加し、設備投資も増え、さらに賃金も増加して雇用環境の改善が見られるなど経済全体が上向きだったと指摘。さらに、ゼロ金利政策を解除したといっても、金融緩和の基調の枠内で若干の調整を行った程度だったと述べた。
次に大塚議員は、日銀の現在の政策について質問。景気減速をもたらしている循環要因と構造要因のうち、前者に対する対応としてインフレターゲティングと国債購入額の増額を取り上げ、これらに対する現在の日銀のスタンスを質した。
速水総裁は、インフレターゲティングについては「採用する気持ちはない」と明言。国債買い入れの増額についても、長期国債を月に4000億円購入しており、さらに増やす必要はないと考えている、と述べた。
景気減速の構造要因をなす不良債権の処理をめぐっては、日銀が整理回収機構(RCC)への直接融資を行う考えがあるかを質した。速水総裁は、「確かにRCCは民間金融機関からの借り入れだけで大丈夫なのかという指摘はある」としながらも、RCCは預金保険機構の下請け機関であり、日銀としてはあくまで預金保険機構への融資という形で間接的に資金供給を行うことになる、と述べた。
また大塚議員は、銀行保有株式取得機構の設立を検討した金融庁金融審議会部会の報告書に日銀の担当者が名前を連ねていたことを取り上げ、RCCや株式取得機構の問題は国民負担の増大という政治マターの問題につながりかねないものであって、日銀が早々にコミットするべきではないと指摘。速水総裁も、「同感だ。通貨の価値を守るという使命からして、慎重であるべきだと思う」と述べた。
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