民主党の山村健衆議院議員は22日、1週間にわたるパキスタン現地視察を無事に終えて帰国した。今回の視察は、被災民支援活動などを計画するには現地の生の状況を把握することが不可欠として、山村議員が自ら党に提案し、実現したもの。
視察では、パキスタンの政治状況はムシャラフ大統領の指導下で比較的安定しているものの、米軍の陸上作戦開始で転機を迎えており、現地で今も親近感を持たれている日本の政治的な役割が非常に重要になっていることが明らかとなった。
■“国連旗より日の丸の方が安全”
山村議員は、15日に日本を発ち、その夜にイスラマバード着。翌日から、ユニセフ現地事務所の活動に同行しつつ、情報を収集し医療支援などの状況を視察した。17日には、アフガニスタンとの国境に近い西部の町、クエッタへ飛行機で移動。アフガンの首都カブールなどに向けたユニセフの援助物資運送隊の出発式に立ち会った。(写真上)
反米意識の強いアフガン人の中では“UN=US”といった見方さえ広まっており、危険の伴う物資輸送にあたることができるのは現地人の職員のみとなっていた。ところが、人口の4割がアフガン人であるクエッタにおいても、日本(人)に対する印象はきわめて良好で、町行く市民が「ジャパン、ジャパン」といって握手を求めてくるのには、山村議員も驚いたという。
■アフガン副大使と会見
19日にはイスラマバードに戻って、アフガニスタン大使館を訪問。シャヒール副大使と会見した。副大使はアメリカの一方的な軍事攻撃を非難し、「タリバンは話し合いで解決したかったのだ」などと述べた。山村議員は、日本からの救援物資をアフガン国内の避難民に届けたいという意向を伝えた。(写真下)
そこから車で2時間半、今度は国境の町、ペシャワールへ。いきなりこの間最大の反米デモ(数万人規模)に遭遇し、反米意識が高揚してきていることを実感した。20日に訪れたアフガン難民キャンプでも、アメリカの陸上侵攻が始まった直後で難民が興奮しており、近づいただけで石を持って威嚇される状況だったので、キャンプ内の様子を見ることはできなかった。山村議員は、翌日イスラマバードに戻り、帰国の途に着いた。
■民主党としても独自の外交を
視察を終えた山村議員は、「パキスタンの多くの人々はタリバンを心情的に支持している。鍵を握っているのは、米国支持を表明したムシャラフ大統領だ。タリバン穏健派を含めた各勢力による和解政権をつくるために、その要となるムシャラフ大統領を政治的にバックアップしていく必要がある。そこで大きな役割を果たせるのが日本だ。政府・与党は米国追従一辺倒で外交能力の欠如を露わにしているが、野党第一党の民主党だからこそできることもあるはず」と語っている。
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