テロ対策関連3法案を審議する参議院内閣、外交防衛、国土交通の3常任委員会の連合審査会で24日、民主党・新緑風会から海野徹、木俣佳丈、佐藤道夫、榛葉賀津也の4参議院議員が質問に立った。
木俣佳丈議員は最初に、「この間、憲法に対するあまりに軽い発言が続いている」として 、PKF活動の凍結解除をめぐる議論などで小泉首相が基本的人権の侵害も仕方ないと繰り返し述べていることを批判した。首相はやはり「有事の際には一部制限されるのもやむを得ない。それを避けて論議しても進まない」などと答弁。
木俣議員は、「所有権や財産権などがどの程度制限されるかという具体的な話は必要だが、基本的人権自体は憲法の基本原則であり、犯すことのできない永久の権利だ。その侵害を認めたら、近代民主主義の否定になる」と首相を強く批判した。
次に木俣議員は、政府の外交的追求がきわめて不足していることについて追及。田中外相がテロ問題で他国首脳と直接会って協議したのは1回しかないことを挙げ、「これでは自主的外交などありえない」と批判した。小泉首相は「目に見える外交も、見えない外交もやっている」などと弁明したが、木俣議員は「外交努力ぬきに軍事オペレーションだけという対応はおかしいではないか」と政府の基本姿勢を批判した。
さらにテロ対策特措法案における基本計画の国会事前承認問題では、法案審議自体が事前承認にあたるという首相の論理を問題にし、「それならば、ここで具体的な自衛隊派遣の計画案を提示し議論に付すべきだ」と迫った。しかし福田官房長官は、「具体的計画は法案を通してからやるしかない」とし、被災民支援に関する国連からの要請があるかという質問に対しても「あるわけない。情報交換もしていない」などと言い放つ始末 。
また、自衛隊派遣に必要な費用概算を基本計画に盛り込むべきだとの指摘に対し、福田官房長官は「それほど重要な項目だと考えていないので記載項目に入れていない」などと答弁。木俣議員は「血税を使うのだから、いくら使います、と決めて国民に理解を求めるべきではないか」と強く批判したが、小泉首相は「どういうところに、何人の部隊を、いくら使って、といったことはまだ分からない。それは政府の行政権の問題だ」と居直った。
木俣議員は「これで法案審議が事前承認と同じとはよく言えたものだ」と怒りも露わに述べ、基本計画策定に必要な情報さえ収集できていないような状態では派遣される自衛隊員も浮かばれないとして、事前承認を盛り込んだ法案修正を改めて強く求めた 。
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