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2001/10/24
<参院テロ関連法案審議>日米安保と中東和平を両立させる外交努力を〜榛葉賀津也議員
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テロ対策関連3法案を審議する参議院内閣、外交防衛、国土交通の3常任委員会の連合審査会で24日、民主党・新緑風会から榛葉賀津也議員が質問に立った。

 榛葉議員は、湾岸戦争前後3年間にわたってイスラエルで研究生活を過ごし、インティファーダ(イスラエルに対するパレスチナ住民の投石による蜂起)に遭遇し、テロにより目の前で友人を失った経験を持っている。

 質問の最初にその経験を語った榛葉議員は「テロを起こす側にも起こされる側にも何らかの原因があり、理由があり、言い分がある。しかしそれ以上に大切なのは、テロには正当性がないこと。いかなる理由であれ、主義主張や思いをテロリズムという形で表現してはいけない」と切々と訴えた。

 その上で、榛葉議員は自衛隊法改正案で緊急出動の項目(第81条2)に新たにテロリズムの法律上の定義が加わったことをふまえて、小泉首相にテロの定義を尋ねた。ところが首相は「許すことのできない卑劣な行為だ」と感情論を語るだけだった。さらに「10月17日にイスラエルのゼービ観光大臣が暗殺されたのはテロといれるか」と認識をただすと、首相は「テロといってもいいんじゃないか」と答弁。

 これを受けて榛葉議員は、「私もそう思うが、ところがアラブの国々はこれをテロとは認めていない」として、国連の総会第6委員会のテロ作業部会で、テロの定義論争が紛糾している事実を紹介。「テロと闘っている以上、テロとは何かという認識を国としてしっかり持つことが闘いへの第一歩」と提起し、「今回の特措法がテロを包括的にカバーするものになっているのか」と疑問を呈した。しかし「テロにはいかなる正当な理由もない、これと毅然と対決しなければならない」と繰り返すだけの小泉首相の答弁に限界を感じたのか、榛葉議員は深追いを避け、次のテーマに移った。
 
 榛葉議員は、「パレスチナでテロに遭い、命を落としそうになった私を助けてくれたのは軍だった。しかし、それと同時に軍が力や権力を持ちすぎたときの悲劇も中東で学んだ」と述べ、自衛隊の派遣にはシビリアンコントロールをきかせるための事前承認が絶対必要条件だと主張した。

 さらに、「緊急的なテロ対応と同時に根元的な対策を同時並行で進める必要がある。それが外交だ」と指摘して、「ビンラディンをタリバンから糾弾させ、イスラム教を世界から誤解させたり、文明対文明の戦いにしてはいけないという声を、アラブやイスラム諸国から上げさせる外交努力をすることが日本にとって一番のシナリオではないか」と提起したが、小泉首相は「いろんな努力をしてきても通じる相手でなかったから今回世界が立ち上がった」と述べるだけで、榛葉議員が訴える予防外交の必要性は伝わらないようだった。

 また榛葉議員が、「中東和平問題が今回のテロの起因となっている。アフガンの情勢が中東和平に影響を与える」と指摘したが、田中外相は「重要性はわかっているが、そのことと今回のテロの原因をくっつけて言うことはできない」などと、重要性を認識しているとは思えない答弁ぶりだった。

 榛葉議員は、炭疽菌などバイオテロへの政府の対応状況を確認し、最後に「日米安保か中東かという、二者択一になってはいけない。両方を両立させることは十分できる、それが外交努力だ」と述べ、質問を締めくくった。

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