民主党の市民政策議員懇談会の横路孝弘会長と原口一博事務局長は29日、国会内で記者会見を行い、「アフガニスタン難民および復興支援に関する緊急アピール」を発表した。
市民政策懇談会では、大干ばつや飢饉、さらに今回の米英軍の軍事行動などにより増え続けているアフガニスタン難民に関して、この問題に取り組むNGOなどを招いて連続3回のヒアリングを実施した。出席したのはペシャワール会、難民を助ける会、JVC、ジャパンプラットホーム、ピースウィンズジャパン、JEN、難民支援協会、アフガニスタン難民弁護団の計7団体。
また、民主党の首藤信彦議員、山村健議員の現地視察の報告などを受け、現地または日本国内におけるアフガニスタン難民および復興支援のための緊急提案として、以下の4項目を示した。
1.日本国内における難民申請者(アフガニスタン人)の仮放免を求める
現在日本政府は、難民申請中の多くのアフガニスタン人に対して「入国管理及び難民認定法」に基づく退去強制手続に着手し、入国管理局庁舎に収容している。その多くはアフガニスタンにおいてタリバンによる被害を受けた人々であり、国籍のみを理由に拘束し退去強制手続きを進めることは人権侵害であり、早急に仮放免による身柄の解放を求める。
2.現地での難民支援活動を行うNGOへの緊急支援を求める
パキスタン等近隣諸国には、アフガニスタンからすでに多くの人々が避難しており、その数は1万人とも10万人とも言われ、その数さえも把握されていない状況である。その中で世界各国から難民支援のためのNGOが現地で活動しており、日本のNGOも多くの職員を派遣している。これから冬を向かえるにあたりさらなる支援が必要であり、また精神的な打撃からそのケアも重要な課題である。そのような活動を活発に行うため、また新たな人材を派遣するためにも、現地で活動するNGOに対してさらなる資金的緊急支援を求める。
3.アフガニスタン人難民の緊急受入を求める
日々、パキスタン等近隣諸国への避難民が流入しており、すでに受入拒否などの措置が行われている。先に示した現地NGOへの支援により、近隣諸国等での難民支援が最重要課題ではあるが、受入不可能な場合また人命に関わる問題であることから、日本国内へのアフガニスタン難民の受入を緊急的かつ限定的に行うよう求める。
4.軍事行動後の復興支援のための支援を求める
先に示した緊急的支援とは別に、米英による軍事行動後のアフガニスタン復興のために、現段階から日本による支援体制を整える必要があると考える。あくまでもアフガニスタンに住む人々が主体となりその復興を行うことを望むが、現存する地雷の撤去や、先にも示した精神的ケアなど、軍事行動後の支援活動を行うための予算措置を行い、主に現地NGOへの資金的支援を行う準備を求める。
原口議員によると、日本国内には現在、9名のアフガニスタンからの難民が収容されている。しかし、難民支援をしているNGOの調べでは、これらの人たちは着替えもない状況に置かれている上に、タリバンの抑圧を受けて、国外に出ることを余儀なくされたのにもかかわらず、「オサマ・ビンラディンを知っているか」とか「タリバンの基地はどこにある」などの非人道的な尋問が行われているという。
「これが事実であれば、人権を侵害する問題だ」と原口議員は怒りを込めた強い口調で政府の対応を批判、真相を質していく姿勢を示した。また、横路会長も「今後、予算委員会質疑などでこの問題を取り上げていく」と述べ、外務省や法務省の担当官を呼んで議論を重ねたいとした。
さらに、横路会長は、会見の中で、党内にアフガニスタン難民等支援募金活動委員会(委員長=横路議員、事務局長=近藤昭一衆議院議員)を設け、募金活動を始めることを発表した。 横路会長は「募金が十二分に生かされるところを支援していきたい」とし、NGOなどの現地での活動支援にこの募金を役立てる意向を明らかにした。
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