民主党の松崎公昭衆議院議員は30日、衆院総務委員会で質問に立ち、高祖前参院議員をめぐる一連の選挙違反事件について、片山総務大臣らを厳しく追及した。
松崎議員は特殊法人改革や郵政事業民営化の問題、非拘束名簿方式の導入などにより、激しい選挙戦となったため、特に比例区において選挙違反が増大したと分析。そして、「郵政関係者間では大きな選挙違反を引き起こす土壌があった」と指摘した。
その上で、松崎議員はまず、足立郵政事業庁長官が近畿郵政局長だった96年当時、近畿管内で起きたDM不適正取扱事件を追及。さらに、高祖前議員が同局長時代に起きた2件のDM不適正取扱事件に言及した。
この事件は近畿郵政監察局が98年、近畿郵政局管内の2郵便局で浮上したDMに絡む贈収賄・背任容疑事案を知りながら、郵政省(現郵政事業庁)と謀ったうえでもみ消し、その事実が内部文書で明らかになったもの。昨年11月、京都府警が摘発し、近畿郵政局管内の幹部級職員4人と贈賄側の3人が贈収賄で立件されている。大量のDMの代行発送を受注した業者が、過少申告で郵便局に持ち込み、大幅な不正利益を上げ、その数をごまかす見返りに郵政局管内の幹部職員が現金を受け取っていたもの。
足立長官は「もみ消したとの報道がなされたが、郵政監察局の調査・司法当局の判断もあおぎ、適切な処置をした」と主張。高祖前議員とその対応を話合ったことはないと弁明した。これに対し、松崎議員は「適切な処置をして、その後、京都府警に逮捕者を出すというのは極めておかしい」と批判。当時、高祖前議員が30数名を処分していた点も明らかにし「裏で処分して警察問題にせず、結局は逮捕者を出した。何をしているのか」と一喝した。
次に毎日新聞が報道した「全郵便局にカンパ指示。高祖陣営1億円、局長1万円、課長代理5000円」との記事についても、足立長官は組織的関与を否定したが、実態調査は行っておらず、松崎議員は関係者の証言を示し、「全国一律で行われたのではないか」と迫った。
また、松崎議員はいわゆる「特定局ルート」について質問。「特定局長会が99年から高祖氏に毎年1億円、計3億円の資金提供を行った」との報道を示し、加えて郵政監察局でボーナス時に3000円〜6000円のカンパをOBが行っている事実を指摘した。足立長官は「噂としてあるが平素の職員の服務規律等について充分徹底しているので、調査していない」と説明。個人的なカンパ、個人的な党費払い込みと判断すれば、国家公務員法の違反にも当たらないと弁解した。
さらに松崎議員は常時の資金提供にも言及。課長会では、(月5000円×12回)+(ボーナス1万円×2回)+(管理職手当て2万円)で年間10万円、局長会は(月1万円×12回)+(ボーナス2万円×2回)+(管理職手当て4万円)でトータル20万円を徴収している点も明らかにし、「この年間徴収されたお金が裏献金・政治献金として流れているのではないかとの指摘がある」と切り込んだ。
松崎議員は続いて渡切(わたしきり)費をめぐる疑惑を追及。これは、特定郵便局長で組織する東北特定郵便局業務推進連絡協議会(東北特推連)が、特定局に支給された渡切費の一部を「東北特定郵便局長会」(任意団体)にプール、不正流用していた疑いが持たれているもの。
松崎議員は「ブロックの役員25人は1200万円ぐらい受け取っており、読売新聞によればそこから20パーセント上納することになっていた。そうなると、1年5000万円で7年間で3億5000万円。これが東北管内で裏金として報道された」と足立長官に質した。松崎議員はこれについても「当然全国一律で行われているはず」として、「全国238の役員局長が20%上納したとすると、一年で4億7600万円になる」と指摘した。
また、特定局長には自民党の党員集めのノルマもあったとして、「これはまさにKSDと同じ構造だ」と厳しく批判。通常が年8人、選挙時は13人のノルマがあり、多くの場合、党費が立て替えられ、出所は渡切費であった点を指摘した。
これらの数々の事実から、松崎議員は今回の選挙違反を「組織ぐるみの選挙だということは明白だ」と批判。全容解明にむけ、集中審議を行うか、高祖元議員の証人喚問を要求したいとし、委員長に要請した。
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