参議院選挙投票日に向けた最後の日曜日となった22日、新宿駅西口で民主党参院選候補の合同演説会が行われた。この日、都心は気温が35度を越える猛暑。にもかかわらず、候補者たちの熱のこもった訴えに、700人にもおよぶ人々が足を止めて聴き入った。
■第1部 東京都選挙区候補が力強くアピール
演説会の第1部は、東京都選挙区への訴え。初めに、民主党東京都連会長の海江田万里議員が挨拶に立った。海江田議員は「改革を通じてどういう社会をつくるのかが問われている。小泉首相は米国のような弱肉強食の競争万能社会をイメージしているようだが、われわれは違う。セーフティネットを備えた、もっと落ち着きのある欧州型の競争社会こそ日本にふさわしい」とし、民主党の政策への支持を訴えた。
続いて菅直人幹事長が登壇した。菅幹事長はまず、ジェノバ・サミットに出席中の小泉首相について「京都議定書の発効を進める世界の国々に対して“イエス”と言えずに帰ってきたら、これは最大の失政になる」と警告。そして「自民党は裏ではみんな改革に反対しているのに、表では小泉首相と握手して見せる。国民をだましている。民主党はそういう二枚舌は使わない。一度決めたらみんながチームで一丸となって実行していく」と述べ、民主党こそ真の改革勢力であることをアピールした。
最後にマイクを握った37歳のS・K候補は、開口一番、「言っていることとやっていることが全然違う」と小泉首相を痛烈に批判。「東京選挙区は、正直者とゴマカシ勢力との一騎打ち」とし、「まじめに頑張った人が報われる社会を取り戻そう」と有権者に呼びかけた。
■第2部 比例区4候補が揃い踏み
第2部では、比例区の候補者4名が、それぞれの専門分野を中心に主張を訴えた。 トップは、安全保障問題のエキスパートであるO・N候補。防衛庁審議官などを歴任したO・N候補は、「防衛庁や自衛隊が立ち行かなくなっているのは、日本の政治家や役人が米国におんぶにだっこで、外交や防衛という国の基本問題にまともに取り組んでこなかったからだ」と喝破し、これを改めるには自民党ではできない、と力説した。
次に、税問題の専門家である女性候補のK・Mさんがマイクを握った。税理士として23年のキャリアを持つK・M候補は、「国による税金のムダ使いはもうこれ以上許せない」とし、コスト把握の不可能な会計制度の改革や、中小企業の活性化、女性の就労促進につながる公平な税制の実現などを具体的に訴えた。
3番手は、テレビレポーターとして長く活躍し、目黒区議会議員もつとめたS・J候補。「今はやっているのは、100円ショップに牛丼や、ユニクロ。みんな自分で自分の生活を防衛しなくてはならない。こんな日本に誰がした」と訴え、国民に「痛み」だけを押しつける小泉改革に騙されてはいけない、と呼びかけた。
比例区候補の最後は、ハンセン病回復者とともに歩む会代表のM・Mさん。国によるハンセン病患者の強制隔離政策が誤りだったことを認めた熊本地裁の判決以降、実際に故郷に帰れた元患者はたったの4人にすぎず、いまだ4千名が療養所暮らしを続けているという。ハンセン病患者として40年にもわたり不当に隔離収容されてきた自身の体験をもとに、「病んだ者が社会に復帰できる日本をつくりたい」とM・M候補が訴えると、「頑張れ!」とひときわ大きな声援が飛んだ。
締めくくりに再度登壇した菅幹事長は、「民主党をつくったのは、自民党に代わって政権を担当できるもう一つの政党が必要だったから。3年間を通じて、若手を中心に力をつけてきた。もう一歩だ。ここで、改革を潰そうとしているニセ改革派を台頭させてはいけない。ぜひ本物の政権交代を実現しよう」と力強く呼びかけた。
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