民主党の菅直人代表は13日、定期党大会本会議において次のように挨拶した(要旨)。
民主党は昨年の総選挙で2大政党の一方の柱としての認知を国民からいただいた。小泉政権は総選挙で約束したマニフェストに掲げた地方分権、年金、道路公団などの改革は全て中途半端におわった。小泉政権はもう終わりだ。民主党はいつ政権を担当しても本物の改革に取り組めるよう用意をすることが必要だ。
私たちは自らの手で健全な日本社会を取り戻す新たな目標を定めなくてはならない。その目標を模索する議論の中で、過去の日本の伝統的価値を見直そうという機運が強まっている。参考にすべきは、明治以来の近代化に合わせた大量生産、大量消費、大量廃棄の生活スタイルではなく、その前の江戸時代の地産地消の「スローライフ」の生活スタイルにあるように思う。
日本外交は戦後、アメリカ一辺倒の姿勢を取り続け、アジアの国々との信頼回復すらアメリカによる保護観察が前提とされてきた。アジア近隣諸国との信頼回復を再構築し、EUに並ぶAU(アジア連合)を構想すべきだ。
北朝鮮の脅威は核ミサイルを除けば日本自身の防衛努力で十分対応できる。拉致犯罪や不審船などに対して政府の十分な対応ができなかったのは、国としての危機管理意識が余りにも希薄で、縦割り官僚組織の無責任な事なかれ主義のためだ。核についてはアメリカの関与が欠かせないが、他の問題はアジアの関係国が協力すれば解決の道は開ける。平和的に北朝鮮問題が解決されれば東北アジアは経済発展の大きな可能性を持つ地域になる。
自爆テロを抑えるには軍事力も必要だが、テロの原因となる感情を解消するというソフトな対策が必要だ。小泉首相が自衛隊の海外派遣で国民の目を外に向け、行き詰まっている国内の改革から目をそらそうとしているとしたら問題だ。民主党はイラク特措法による枠組みでの自衛隊派遣は反対だ。統治機構は米英中心でなく、国連主導が望ましく、早い時期にイラク人による暫定政権をスタートさせるべきだ。
自衛隊をどういう場合に海外派遣することを認めるかの問題は避けて通れない課題だ。国際協力を目的に海外で活動する組織を自衛隊とは別に「国連待機部隊」といった形で設けることを検討したい。
現行憲法は2006年に還暦を迎えるが、市民革命によって市民が自ら創った憲法でなかったため、不磨の大典となってしまったのではないか。その背景には55年体制というイデオロギー対立と憲法解釈までも官僚任せにしてきたことがある。民主党が野党第1党になり不毛なイデオロギー論争に終止符を打つとともに、法案作成も自ら行うようになった。官僚主権から国民主権の国にするためには、市民革命に代わる幅広い憲法制定運動が必要だ。民主党は日本のあるべき姿を示す新たな憲法を創る「創憲」を主導し、2006年までに新たな憲法のあり方を国民に示したい。
昨年の自民党総裁選と総選挙で小泉政権は大きく変質した。抵抗勢力の代表、青木参院幹事長と手を握り、名実ともに改革政権でなくなったことと、公明党に首根っこを押さえられた政権になったことだ。日本の政治が公明党を通して創価学会という一宗教団体に支配されてはならない。このことをしっかり全国民に訴えれば必ず良識的な保守層は自民党を離れ民主党を支持してくれる。今夏の参院選も小泉政権に対する国民の審判であることは間違いない。1人区で10人以上の当選、比例で2500万票の支持を目標にしたい。
自民党政権が倒れればいつでも政権を担当するという責任ある姿勢で今年も全力で頑張りたい。党員の皆様のご奮闘と支持者の皆様のご支援を心からお願い申し上げる。
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