民主党の菅直人代表は、25日から2日間の日程で高病原性鳥インフルエンザが発生した山口県阿武郡阿東町などを訪れ、感染の実態や被害状況などの聞き取り調査を行った。
高病原性鳥インフルエンザに感染した鶏は、今月12日、阿東町の一養鶏農家で発見。同農場の全養鶏(およそ2万羽)の殺処分、鶏糞などの埋却処分、出荷鶏卵の回収・焼却処分に加え、発生農場から半径30km以内での鶏、鶏卵、鶏肉等の移動禁止といった対策が、国の「防疫マニュアル」に基づいてすでに実施されている。
25日に山口県に入った菅代表は、まず山口市内で阿東町の養鶏関係者からの聞き取りを実施。参加したおよそ20名の関係者からは、「(移動禁止措置によって)卵の売り上げはゼロなのに、出荷できない卵の蓄積・廃棄のための費用が1日60万円にもなる。これではもたない」「山口県というだけで取引を拒否されるケースも出ている」など、移動禁止による損失や風評被害の拡大への対応を訴える切実な声が相次いだ。菅代表は、国のレベルでも地元の養鶏業を守るための緊急的な措置を働きかける意向を表明した。
翌日、阿東町内の農場を視察した菅代表は、その後、町役場支所で阿東町長および対策本部からヒアリングを受けた。対策本部からは、養鶏業者の協力による迅速な対応で感染拡大の危険はほぼなくなっていることなどが報告されるとともに、感染ルートの早期解明、養鶏農家の経営安定対策などへの国の取り組みに対する要請がなされた。
さらに山口市内に戻った菅代表は、阿東町産の鶏肉・鶏卵を使った料理を試食。「やきとり丼」などを頬ばりながら、「鶏肉や卵を食べて感染することはないから平気。おいしいね」と調理品の安全性をアピールした。
2日間の日程を終えた菅代表は、「鳥インフルエンザもBSE同様、国全体の危機管理の問題だ。養鶏業者が継続していけるよう、移動禁止で出荷できない生産物の買い上げなどの措置も必要だろう。今日からの予算委員会で取り上げるだけでなく、農水省などに直接要請もしたい。超党派できちんとした対応をすべきだ」と語った。
調査には、篠原孝衆院議員、平岡秀夫衆院議員、松岡満寿男参院議員、大泉博子山口県連副代表らも同行した。
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