衆議院イラク復興支援活動等に関する特別委員会が、29日午後開かれ、民主党からは、横路孝弘副代表、生方幸夫議員、達増達也議員、首藤信彦議員、池田元久議員、木下厚議員、伴野豊議員、長島昭久議員が質問に立った。
■サマワの評議会の解散は政府として確認したか
横路副代表は首相と、石破防衛庁長官がその答弁を撤回したサマワの評議会について、「日本政府としてその解散を確認したのか」と質した。川口外相は「オランダ、CPAからの情報で確認」と答弁、政府として直接確認はしていないことが、明らかになった。横路副代表は、川口外相が予算の執行先、地方政府は評議会と予算委員会で答弁していることを取り上げ、予算委員会での補正予算審議をやり直すよう求めた。また、掃討作戦が行われている地域は「戦闘地域ではないか」と質したが、石破長官は従来の見解を繰り返した。
■国連は日本の安全に必要ではないのか
生方議員は首相の「国連は日本の安全を守ってくれない」との答弁を取り上げ「日本の外交は国連と安保の2本柱ではなかったのか。変更したのか」と日本の外交方針の重大な変更を質した。川口外相は「首相の答弁は日本外交方針を変更したものではない。首相の発言は国連を軽視したものではない」と開き直った。また、生方議員は559億円の積算根拠について、「相手も分かっていないのでは」と質した。川口外相は「現地のニーズは把握している。具体的な金額は相手とつめているので、言えない」とイラク支援のODA資金の積算根拠については、答えなかった。
■首相の答弁撤回は前代未聞、総辞職を
達増議員は、首相がサマワの評議会が存在している発言を撤回したことを取り上げ「前代未聞。あってはならないことだ」としたうえで、「26日の予算委員会で首藤議員がサマワの評議会が解散していると質問している、今日の理事会で配られた経過を示したペーパーにはその事実はない」とまた、事実を捻じ曲げるのかと追及。「その場で事務方に調査させれば、首相に虚偽の答弁をさせることはなかった。このような内閣は総辞職に値する」と総辞職を求めた。また、「この内閣での自衛隊派遣は危険」と断じた。さらに石破長官にマスコミへの取材に対する「お願い」の撤回を求めた。石破長官は「撤回しない」と強弁した。
■先遣隊は何を調査、だれと会ったのか
首藤議員は「20日、陸上自衛隊の先遣隊が現地でだれと会い、何を話したのか」を質した。石破長官は「よろしく、お願い申し上げる、とのあいさつ」と答弁。首藤議員は納得せず、「きちんと報告が上がってきているはず」とし、また、「最初にだれに会い、何を話すかは非常に重要。すべてはオランダ軍からの情報か」と鋭く政府を追及した。石破長官は「評議会の議長とは会った。氏名を個々に申し上げるのは難しい」答弁した。首藤議員は「評議会のだれに会ったのか、12人のうち9人が巡礼に出ている、との報道もある」として政府の統一見解を求めた。このため審議はしばらく中断した。石破長官は「何人いたか、お名前、役職すべて出せるかどうか、分かりません」と答えたため、理事会で協議することとなった。
■先遣隊の調査報告の信憑性が問われている
池田議員は首藤議員の質問を受け、石破長官にすべての氏名を明らかにするよう求めたが、石破長官は拒否した。また、池田議員は先遣隊が評議会に直接は行っていないことを取り上げ、「どうして行かないのか。その理由は」と質した。石破長官は「行ったとの報告は受けていない」とのみ答弁、理由については答えなかった。また、池田議員は予算の配布先の基準・要件の明示を求めたが、川口外相はODAの一般基準についてのみ、答えただけで、具体的には答えなかった。
■これでは自衛隊員に申し訳ない
木下議員は冒頭「あきれた答弁。これでは自衛隊の皆さんに申し訳ない」とし、本隊派遣の最大根拠となっている先遣隊の調査について「十分な調査ではない」と政府を追及した。川口外相は「評議会が解散したからと言って、治安が悪くなっているとの報告は受けていない」と答弁した。また、木下議員は予算の配布先は「だれが判断し、適切、実行能力がありと認めるのか」と質問。外相は「政府全体」と、無責任な答弁に終始した。
■驚いた、自衛隊員のご家族を思うと胸が痛む
伴野議員は「驚いた、自衛隊員のご家族を思うと胸が痛む」として、「すべての国民は自衛隊員が無事に帰ってくることを願っている。そのために知りたいことがある。真摯に答弁を」と前置きし、「復興にどれくらいの期間がかかるのか」と質問。石破長官は最初「3年から5年かかる、(先遣隊が)申し上げた可能性はある」と答弁。伴野議員が「政府の意向でいいのか」と畳み掛けると、石破長官はあっさり「そのような発言を行った事実はない」と前言を翻した。
■かなりずさんな調査に基づき、コンバット・ゾーンに送っている
長島議員は「かなりずさんな調査に基づき、米軍がコンバット・ゾーンと言っているところに、自衛隊を送っている。いつ、どんな情報に基づき、派遣を決定したのか」と質した。石破長官は「12月の時点、本隊に関しては1月」とだけ答え、判断の基となる情報については明らかにしなかった。長島議員は「その判断はかなり無理をしている。その無理を現地の自衛隊員が一身に負うのでは」との危惧を示した。また、長島議員は自衛隊の安全基準について「装備、権限、能力で安全を確保するとしているが、その任務の内容を加えるべきではないか」と質した。石破長官は「加えることはない」とこれも、現地の自衛隊員の安全を無視した無責任答弁。
委員会の終了間際に首藤議員が、先遣隊が会ったのはだれかについて、再度質したところ、石破長官は「本人に確認した所、議長代理だった」と答弁、「訂正します」としたため、先遣隊の報告そのもの信頼性、政府の情報伝達機能の不備が明らかになった。首藤議員は石破長官の罷免を要求した。
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