衆議院の予算委員会の閉会中審査が14日、小泉首相など全閣僚が出席して行われた。民主党・無所属クラブからは仙谷由人、生方幸夫、城島正光の3議員が質問に立ち、主に小泉内閣の構造改革の内容や、経済対策、景気対策について追及した。
トップバッターの仙谷由人議員は、まず、アメリカでの同時多発テロ事件について触れ、「テロ行為には徹底的に厳しく対処すべきであり、国際的な枠組みの中でやることは当然。同時に、テロの原因について、冷静に判断する思考も持つべきだ」と述べた。その上で、国際的な金融・経済の不安定要因にならないように、「為替、マーケットの安定についての協調行動を日本からもG7に呼びかけるべき」と提案し、塩川財務相も「趣旨を尊重し、連絡を取り合っている」と応じた。
次に仙谷議員は、低迷する日本経済にテーマを移し、「株価が1万円割れした。小泉首相が就任してから時価総額でちょうど110兆円が吹き飛んだ。同時に首相が主張している構造改革の何らかの政策が実行されて痛みが発生したわけではない」として、森政権まで景気対策でどうしてこのようなことになったのか、原因についての首相の見解を質した。
しかし首相は「だから構造改革が必要だ。国民の税金を有効に使うために特殊法人改革、規制改革、雇用対策を進めようとしている。3か月や5か月で見に見える効果がでるものではない。現在の不況は半年や1年では回復するとは思っていない」と抽象論を繰り返すばかりで、前政権からの政策転換や、反省については正面から答えようとはしなかった。
仙谷議員は、「ここが間違っていたからこうするという反省や原因究明がなくて、両極端に路線を変えるといってもまゆつばだ。首相はちゃんと説明責任を果たすべき」と主張した。
また竹中経済財政担当相に対して、「森政権時の経済戦略会議の政策がなぜ実現できなかったのか」と迫り、「日本の経済がこのていたらくに陥ったのは、方向性の問題だ。サービス化に向かって労働力を流動化させるためのコンセプトに資源を投入せずに、依然として公共事業、特殊法人、補助金だ。いくら立派なことが書いてあっても結局2年間を無駄にした」と批判した。竹中担当相は「政策決定のプロセスというのはそんなに簡単なものではない。今回は骨太の方針を決め、プロセスが大幅に変わった。いままでの反省を踏まえたアプローチ」と答えたが、仙谷議員は「(自民党政治、霞ヶ関と政治の関係という)政治の構造に触れていない」と指摘した。
さらに仙谷議員は、先の参議院選挙で当選した自民党の高祖憲治議員の選挙運動で、公務員の地位利用による選挙運動禁止違反容疑で近畿郵政局長など16名が逮捕された「高祖事件」を取り上げた。「郵政局、(旧)郵政省全体が選挙マシンになっている。一方では、特定郵便局長、一方では普通局の管理職が集票活動と集金活動をしている。これほど明らかに発覚した組織的大事件は初めてだ」と仙谷議員は強調。特定郵便局長業務推進連絡会で配布された「自民党費徴収連絡」の文書や、近畿郵政局内で参議院選挙についての会合がもたれていた証拠を示す文書を示し、片山総務相の見解を求めた。
しかし総務相は「再発防止の協議をしており、これだけの逮捕者が出たのは遺憾だ」と人ごとのような答弁。さらに仙谷議員は、特定郵便局長会の解散をさせるよう迫ったが、総務相は「任意の私的な団体をどうこうはできない」と突っぱねた。
仙谷議員は最後に小泉首相に「経済政策にしても、特殊法人あるいは郵政改革にしても、党内議論を変えないままあなたが総理大臣になった。党内の路線や基本政策は全然変わっていない。小泉政治の最大の問題がここにある」と指摘したが、小泉首相はいつもの調子で「これから見ていてください。そんなに焦っちゃだめです。3か月や5か月で、いままでの大集団が反対してきたものをすぐ変えろという方が無理です」などと大声で開き直るばかりだった。
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