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2001/09/19
参院でも予算委の閉会中審査、齋藤勁議員が政府の危機管理意識を追及
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参議院予算委員会の閉会中審査が19日、小泉首相以下全閣僚が出席して開かれた。民主党・新緑風会から齋藤勁参議院議員が質問に立ち、米国の同時多発テロ事件・不良債権処理問題をめぐる小泉内閣の現状認識を質した。参院予算委の閉会中審査で首相が出席したのは35年ぶりのこと。

 齋藤議員は、「テロに対して毅然たる態度を示すことは言うまでもない。しかし、毅然たる態度をとることは、武力による報復攻撃だけではない」と前置き。

まず、テロ発生以前の9月6日時点で、日本にある米軍関連施設に対して大規模なテロが行われる可能性が高いとの情報が伝えられた点への政府の対応について確認した。福田康夫官房長官は「米国大使館から警察庁に、イスラム関連のテロの恐れがあるとの情報があった。確度や出所が不明であったし、米国内でのテロを予告したものではなかった。私が知ったのは翌日7日だ」として、警察庁で米軍関連施設の警戒警備を指示するなどの処置をとったと述べた。しかし、田中外相はこの情報を知ったのは12日だと答え、中谷防衛庁長官も「内閣のもとで防衛庁も一緒に情報を共有するのが望ましい」と、言外に連絡がなかったことを答弁。これに対して齋藤議員は「事件が起きたから言うわけではないが、日本でもサリン事件というテロ事件があった。(政府に)緊張感がないのではないか」と批判した。

 また、テロ事件発生後の首相のメッセージ発表が各国に比べて遅れた点について、齋藤議員は「アメリカと全世界に対し、テロを憎むとの率直なメッセージを発するべきだった」とし、重大事においてはトップが速やかに自らの言葉で語ることが重要だと指摘した。

 続いて、米国から具体的にはどんな支援要請がきているか質したのに対しては、福田官房長官は「具体的な支援要請はない」と答え、政府の準備内容を尋ねたのに対し、小泉総理も「どういう対応をとるか、まだわからない」と具体的な説明を避けた。

 また、「周辺事態法の適用などについて中谷防衛庁長官が会見などで具体的に発言しているが」と齋藤議員が質したが、中谷長官は「現在行っている検討は憲法の範囲において取りうる限りの判断であって、米国の行動や状況による。現時点では、周辺事態法で適用できないと判断する時期ではない」とかわした。小泉首相も「現在の法律でできることはすべて検討しているが、どういう対応をとるかはまだわからない」とぼかした。

 齋藤議員は「テロを生み出す土壌を根絶することも、テロに立ち向かう毅然とした態度といえる」として、和平に向けての日本の努力を政府に求め、これまで積み重ねてきた外交的なチャンネルをさらに生かしていくよう提案した。同時に「報復がまたテロを生む」という悪循環に陥る危険性と、多くの市民を巻きこむことになるという現実を指摘し、冷静で理性的な対応の必要性を訴えた。

 さらに、齋藤議員が日本とアフガニスタンとの外交関係について田中外相に質したところ、外相は「質問通告がないので…」と言葉を濁したため、「今アフガニスタンが焦点になっているじゃないか。答えられないこと自体おかしい」と齋藤議員が語気を強めた。
代わりに外務省の官僚が「昨年3月に(タリバーンと北部同盟)両派の代表を東京に呼び会談を開いた。今年の春、同様のことを実現させようと努力したがうまくいかなかった」と説明した。

 次に、不良債権処理問題について、齋藤議員は与党・政府内で整理回収機構(RCC)に簿価で不良債権を買い取らせるという構想が出ている点を指摘。「不良債権処理を国民に押し付ける、国家規模の“飛ばし”ではないか」と批判した。小泉首相は「整理回収機構の拡充強化策についてはいろいろな意見がある」としながら、「現在の不良債権をいかに有効に処理するか、整理回収機構の拡充策にはどんなものがあるか、今までの金融検査などに不安がないよう検討している」とした。「信用秩序に疑念がもたれないように努めなければいけない。政府はやるなといってはいない。現在の不良債権処理の中で出てきた議論で、決定だとか、検討しないということではない」との首相独特のあいまいな答弁が続いた。

 齋藤議員は「簿価で買い取ることは断行しないと言い切った方がいいのではないか」と強い口調で指摘したが、小泉首相は「私もよく勉強した。知らないとかわかっていないと言われたからよく勉強した。そういう中で専門家の中で出てきた議論だ」などと他人任せのような答えっぷりに、齋藤議員は「このことがもし具体化したら、公約が破綻したことは明らかだ」と断じて、質問を終えた。

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