民主党の菅直人幹事長は21日の定例記者会見で、米国で起きた同時多発テロ事件への日本の基本的な対応について、「政府の姿勢を基本的には了承するが、具体的にどんな行動に出るかは冷静な判断を要する問題だ」と指摘。「小泉首相はややもすると情緒的なところがある」と懸念を示し、「EU各国やロシア、中国の首脳はスタンスは明確にしながらも、行動については冷静な対応を見せている。わが国もそうした姿勢で望むべき」と慎重な対応を求めた。20日に首相官邸で行われた党首会談においても、鳩山由紀夫代表からその意向を伝えたとした。
また、菅幹事長は与党3党の選挙制度改革協議会が、中選挙区制を大都市部で部分的に復活させるとの案を20日に合意した件に言及し、「言語道断だ」と強い口調で批判した。「選挙制度のあり方をめぐる議論を置き去りにして自民・公明両党の妥協を優先した結果であり、国の安全と党利党略のバーター取引だ」と指摘。小選挙区制度は細川政権時に法案成立し、公明党も主体的にかかわっていたはずだと説明して、「どういう論理で一部中選挙区という議論が成り立つのか。政権交代可能な議会制民主主義の根本をゆるがす問題だ」とと語気を強めた。
続けて、有明海のノリ不作の原因究明や対策を検討している農水省の「有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会」が、諫早湾干拓地の潮受け堤防を「数年にわたって開放する中期調査が必要だ」と発表したことについて、菅幹事長は「これで(干拓事業が)基本的にまちがった構造であったことが明らかになった」と指摘。「水門を開放し、干潟に戻すよう即座に実行に移してほしい」と、小泉首相の一刻も早い対応を求めた。
また特殊法人改革についての国土交通省からの回答について、「結局は相変わらず官僚の抵抗を大臣が代弁する形になっている」と菅幹事長は分析。大臣が本気で取り組まなければ、聖域なき構造改革は進み得ないとして、「やる気のない大臣を並べていても無意味であることが露呈した」と批判した。
最後に狂牛病対策について、「イギリスはじめ国際的に問題になった時点で最大限の危機管理体制が取られるべきだったはず」と指摘。事実を隠蔽しようとする姿勢は薬害エイズ事件にも共通するとして、農水省・厚生労働省の危機管理体制の確立を改めて要請した
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