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2001/09/28
菅幹事長が会見で自衛隊の突出した行動を批判
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民主党の菅直人幹事長は28日の定例記者会見で、米国で起きた同時多発テロ事件への政府・与党の対応について「ぶれている状況は目に余るものがある」と強い口調で批判した。

 特に海上自衛隊のイージス艦を米海軍の空母キティホークとともに行動させ、場合によってはインド洋まで派遣しようとした点について、「福田康夫官房長官も山崎拓幹事長も事実を把握しておらずに急遽取りやめになった。こうした形で、極めて重要なことが政府・与党内での方針が定まらないまま、突出した一部の行動で実行に移される事態は極めて問題」と指摘した。

 菅幹事長は「制服組出身の中谷長官が制服組の主張に押されて行動したとすれば、大変な事態だ」とし、「中谷防衛庁長官が就任した折、敢えて文民統制を総理に投げかけたが、今まさに自衛隊を活用しようとするとき、そうしたシビリアンコントロールの上で成り立たせなければならない」と強調した。また、「自衛隊が動いたからには、少なくとも中谷元防衛庁長官は知っていたはず」とし、総理・官房長官への報告なしに行動したとすれは、中谷防衛庁長官の責任問題であると言及した。

 また、最近の米軍の動きへの印象として「当初の動きとは、やや変化しつつある」との見方を示した。その根拠として、硫黄島での訓練後はインド洋に向かうと見られていた米海軍空母キティホークが、30日正午ごろに横須賀基地同基地に帰港するとされている点について、「犯人を特定して捕らえようと考えたとき、大規模攻撃に出ただけではそれを実現し得ないことは十分ありえる」として、米軍の行動の変化は犯人逮捕に重点をおいたことによるものではないかと分析した。

 そうした中で日本がとるべき行動について菅幹事長は「米軍の軍事行動そのものへの支援という意味では、基地提供という形で定常的な後方支援を日本は行っている。そう考えると、加えての後方支援としては、例えば難民等への支援など、全くちがう性格の支援も重要性は高いのではないか」と問題提起した。

 続けて、HIVに汚染した非加熱製剤の回収措置などを怠り、血友病患者を感染・死亡させたとして業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長の松村明仁被告に対し、28日に東京地裁が有罪判決を言い渡した件について、菅幹事長は「元課長ひとりの責任に止まらない。まさに組織的な、長く継続した厚生省薬務行政の構造的な責任だ」ときびしく批判。総理大臣・薬務局長もどこまで事実を把握していたかは不明だが、責任は大いにあると指摘した。

 同時に非加熱製剤の回収の遅れについて、“怠慢であったから”との観点には止まらないとの見方を示した。「回収すべきことは常識的に認識していたにもかかわらず、“問題があること”を認めるのを避けるため、意図的に回収しなかったと判断できる」と分析した。非加熱製剤に関わった歴代担当者の責任追及を避けるために行われた、厚生省の隠蔽体質の産物であるときびしく批判した。

 さらに、狂牛病対策として肉骨粉の輸入を農水省が中止しようとしている点について、「輸入禁止だけでなく、国内の肉骨粉についても使用を全面禁止すべきだ」とした。また、過去に輸入された肉骨粉の扱いについても徹底した調査・指導が必要だとの考えを示した上で、「薬害エイズ問題同様、過去の行政責任を隠蔽するためにうやむやにするようなことはあってはならない」と強く主張した。

 民主党としては、農水省・厚生労働省それぞれの責任をきびしく追及すると同時に、これ以上被害を拡大させないための体制を早急に整えるよう求めていく。

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