11日午後の衆議院本会議で、日米安全保障協議委員会(2+2)の出席報告と、在日米軍再編に係る日米協議に関する報告が行われた。これらの政府説明に対して、民主党・無所属クラブから質問に立った武正公一議員は、沖縄駐留米海兵隊のグァム移転問題を中心に、首相や関係大臣の認識を質した。
武正議員は冒頭、「民主党は、日米同盟関係を、我が国安全保障の基軸と位置付けている」として、地域安定の要(かなめ)として有効に活用する重要性に言及。同時に、過剰となっている日本側の基地負担の軽減策を講じるという重要な責務を政治が果たさなければならないとの見解を示した。
武正議員は、在沖米軍のグァム移転について「米軍再編と絡む問題として、米側から期限を切って迫られたために、何のビジョンも持たないまま米側の言いなりに巨額の負担を受け入れたのが実情ではないか」と指摘。日本が移転費用を負担する理由や、対応する法的枠組みについての見解を求めた。首相は「米側の言いなりになったという指摘は当たらない」と述べ、枠組みについては「法整備の必要性も含め政府内で検討する」と答弁するのみだった。
在日米軍の再編に伴って実際に発生する金額と積算根拠について、武正議員は首相や関係大臣に厳しく質したが、麻生外務大臣が「現時点で明快に答えることは困難」と述べるなど、明確に示されることはなかった。財源に関する質問に対して谷垣財務大臣は「明らかになった段階で、法制上の措置も含め検討する」とした。
武正議員はまた、「在日米軍基地の移設について、受け入れ先である地元自治体や住民、国民の代表である国会の頭越しに協議が行われたことは全く許しがたい」と述べ、地元への説明責任に対する認識を尋ね、小泉首相は「従来どおり丁寧に説明する」などと答えた。
武正議員は、負担は軽減されず、「拡散拡大」していないか懸念を示し、各種訓練や兵器の展開や思いやり予算、日米地位協定の改定などについて、小泉首相や額賀防衛庁長官に答弁を求めた。「これだけの大事を国内で議論することなく、米側と合意してきた政府のやり方について、改めて強く抗議し、猛省を促したい」として、今後、国会で十分な審議時間を確保し、各委員会で合意内容を厳しく精査しつぶさに検証を行うことは当然と主張した。
武正議員は、小泉内閣5年の総括として、国民の生命財産を守り領海領土を守るという当然の主張を行うため、外交チャネルを多角的に活用できたかが問われねばならないと強く指摘し、質問を終えた。
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