民主党など野党4党は12日、8月5日に予定されている住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)の運用開始を別に法律で定める日まで凍結することを内容とする法案を共同で衆議院に提出した。実施の前提である包括的な個人情報保護法制の整備がなされていないことが凍結法案提出の理由。4党は、今後、速やかに委員会審議を行うように与党に求めていくとしている。
住基ネットは、1999年に自自公連立与党が参議院の委員会採決を省略して本会議採決を行うなどの強引な手続きで成立させた改正住民基本台帳法によって導入が決まったもの。全国民に11桁の番号(住民票コード)を付番し、全国共通の本人確認情報として氏名・住所・性別・生年月日の4情報と番号を都道府県ネットワークと全国ネットワーク上に登録する。今年8月から国の行政機関等の窓口での各種申請手続き時にこのシステムを利用して本人確認を行うほか、来年8月からは全国のどこからでも住民票の交付を受けられるようになると総務省は説明している。
これに対して民主党など野党は当時、民間を含めた包括的な個人情報保護法がないなかで住基ネットを導入すれば、個人情報の大量流出や不正なデータの収集・蓄積をもたらす危険性が高く、プライバシーが危機にさらされるとして強く反対した。
当時の連立与党は、野党の強い反対をかわすため、法案を修正し、法律附則に「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする」との一項を追加。当時の小渕首相も「これまでの国会審議を踏まえ、特に住民基本台帳ネットワークのシステムの実施にあたりましては、民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提であると認識をいたしております」と答弁していた。
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