民主党の伊藤英成議員は24日の衆議院武力攻撃事態特別委員会で、有事関連3法案をめぐって、その難解さ・問題点に改めて言及した。
伊藤議員は冒頭、民主党はそもそも緊急事態に備える法整備は不可欠との観点で、大規模災害・テロ対策なども含めて政府の有事法制よりも幅広い見地から検討を進め、国会審議を通じて多くの重要論点を提議してきたと説明。それに引き替え、今回提出された有事関連3法案は有事法制に対する政府の姿勢・考え方がはっきりしないと指摘した。
伊藤議員は有事への対処にあたって枢要な機能を果たすべき防衛庁・外務省の状況は目を覆うばかりだとし、防衛庁による公文書偽造・個人情報リスト作成問題、外務省の機密費事件・鈴木宗男の暗躍・在瀋陽日本総領事館事件などの不祥事を取り上げ、「退職・異動したため、責任は問えない」などとする中谷防衛庁長官、川口外相に対し、処分の甘さを厳しく指弾。法治国家にあるまじき、法の趣旨を歪めるものだと政府の姿勢を批判した。
法案の対象とされる事態の認識が時代遅れであり、テロや不審船、ミサイル防衛など、新たな脅威への対象方針がまったく示されていないなど、冷戦後に激変した国際社会の現状にそぐわない内容となっている点も伊藤議員は改めて指摘。「なぜ、今有事法制が必要なのか。日本を攻撃する可能性がある国が具体的に存在するのか」と質した。福田官房長官は「いつあるかわからないものに対し、備えていくのが有事法制である」などとした。
続いて伊藤議員は「武力攻撃事態の定義・認定の規定が不十分であること」、「国会承認・民主的統制のあり方が不適切であること」などを指摘。伊藤議員は「なぜ国会を軽視したがるのか理解できない」とした。また、今回の法案で具体的なのは自衛隊行動の円滑化のみであり、避難・警報、医療・救助など、国民の安全確保と被害最小化への措置が先送りされている点、地方公共団体や指定公共機関の役割・権限・内容等が不明確である点、周辺事態と武力攻撃事態における米軍との関係の不明確さなどにも言及した。
伊藤議員は、有事法制は国民に理解されるものでなければならないと重ねて指摘し、国民の安全と基本的人権を守るための緊急事態法制の整備こそが必要だ、と強調した。
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