民主党憲法調査会の総会が29日、党本部で開かれ、2年半余にわたる議論を取りまとめた報告を了承した。
民主党憲法調査会は、1999年12月、鳩山由紀夫代表の諮問に基づいて設置された。以降、「護憲・改憲」論争を乗り越えることを目指して「論憲」の立場から議論を重ね、今年9月末に終了する鳩山代表の任期中に間に合うよう、今回の調査会報告をまとめた。
総会の冒頭、挨拶に立った中野寛成会長は、調査会の2年半余の検討作業の経過を振り返って、「われわれの憲法調査会の議論が院内における憲法論議をリードすることにもなった」と述懐。今回の調査会報告について「民主党として本格的な憲法見直し作業に着手するための『たたき台』を提起するもの」と位置付けた。
続いて、5つの作業部会ごとに報告内容が提起された。第一作業部会(総論)報告では、憲法論議を進める基本的な立場として「新しい憲法を創る(創憲)」ことを明確に提起。目指すべき国のあり方を『最良の国・日本』と表現し、その実現を目指してつくる新たな憲法に盛り込むべき内容として、「日本国の伝統と文化の尊重」「自立と共生を基にし、国民一人ひとりが主役となって、みずから参画し、責任を負う新しい民主主義社会の構築」など9項目を挙げた。
第二作業部会(統治)報告では、首相への執行権付与など首相主導の議院内閣制度の確立、連邦型国家への移行に伴う地域代表型の第二院への転換など二院制改革、その他国民主権に基づく明確な統治機構確立に向けた提案を盛り込んだ。
第三作業部会(人権)報告では、国際人権保障と憲法人権規定との関係、「人間の安全保障」の観点からの人権規定改定、労働権・難民の権利などの保護規定、その他について具体的な提案を示した。
第四作業部会(分権)報告では、コミュニティを基礎単位とした地方自治原理の確立、自治立法権の確保などを提起。また、都道府県制度の見直しをめぐっては、都道府県連合、連邦制、道州制など目指すべき制度について意見が分かれたため、憲法第8条の規定の見直しの必要を確認するにとどめた。
第五作業部会(国際・安保)報告では、国連の下の集団安全保障に貢献する観点から、国連平和維持活動と多国籍軍への参加を可能にすべきことを提起。そのために必要な法制度上の見直しとして、憲法解釈の変更、安全保障基本法等の制定、憲法条文の改正の3つの選択肢を検討すべきだとした。
討論では、地域安全保障と日米安保との位置付け上の関連を整理すべき(第五作業部会報告)、公務員の労働基本権のあり方について検討すべき(第三作業部会報告)、具体的な憲法草稿をつくるべき、などの意見が出され、最後に報告を党の憲法見直し作業の「一応のまとめ」として、全体で了承した。
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