衆議院予算委員会で9日、野党が求めていたイラクでの自衛隊活動に関する補充質疑が行われ、民主党・無所属クラブから達増拓也、生方幸夫、池田元久各議員が質問に立った。
達増議員は、米英軍のイラク攻撃について自衛隊派遣基本計画にある「国際社会の平和と安全に与える脅威を取り除くための手段」との記述を取り上げ、実際には脅威は除去できていないのではないかと質問。川口外相が「脅威は完全には取り除けていない」としたのに対して達増議員は、無政府状態を打開しない限り、人道復興支援をしても問題解決につながらない実態を指摘した。
また、自衛隊派遣によって従来は治安が安定していたサマワにテロを呼びこむ危険性があると達増議員は指摘。さらに、戦闘行為が行われるに至った場合を想定した実施要綱6を取り上げ、「戦闘行為が行われるに至っては、当該地域を非戦闘地域とした基本計画が誤りとなり、自衛隊派遣は違法になる」と断じた。
続いて質問に立った生方議員はフセイン元大統領拘束前後での、イラクの治安状況の変化について質問。石破防衛庁長官の「予断を許さない状況が続いている。大統領の捕捉によって劇的な変化はない」との答弁を得て生方議員は、退避勧告が出ているイラクでの大使館員の勤務状況を質すと同時に、自衛隊活動の円滑化に向けても情報収集が重要であることを指摘。外務省・防衛庁との連携を整え、的確な情報収集に努めるよう求めた。また、給水設備設置後の利用状況等を詳細に報告するよう政府に要請した。
最後に池田議員は、昨年11月、それまで数年間の占領統治を行うとしてきた米国が占領の早期終結を打ち出した理由について質した。川口外相は「CPAとの合意による」としたが、池田議員は「ブッシュ政権が大統領選挙への悪影響を恐れて早期締結に向けて方向転換したとするのが多くの見方だ」と断じた。また、いつまで自衛隊がイラクに留まるか質したのに対し、石破防衛庁長官は「イラクで主権移譲がなされても、特措法の仕組みからいって(自衛隊の活動)根拠がなくなるわけではない」と述べ、新政権発足後も自衛隊の駐留は続くとの見通しを示した。
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