自衛隊派遣の承認に関して審議を行っている参議院イラク支援特別委員会で9日、締めくくり総括質疑に続いて、討論・採決が行われ、自民、公明両党の賛成多数で承認が可決された。
締めくくり総括質疑では、民主党・新緑風会から平野達男、佐藤道夫、若林秀樹の各議員が質問に立った。
平野議員は、政府が米英軍のイラク攻撃を支持した根拠として国連安保理決議(678、687、1441)を挙げていることを取り上げ、「今後、イラクに大量破壊兵器がなかったことが判明してもその主張は変わらないか」と質した。小泉首相は、「仮にイラクが大量破壊兵器を廃棄していたとしても、どうやってしたかを自分で証明しなければならなかった」などと答弁。平野議員は「“ある、ある”と言って、ないことを証明しなければ武力攻撃していいという先例をつくることになる」と、首相の見解の問題性を厳しく指摘した。
また平野議員は、イラクのムサンナ県を非戦闘地域と判断した理由がはっきり説明されていないとして、政府の公式見解を文書として委員会に提出することを求めたが、石破防衛庁長官は「国会答弁以上のことは言えない」などとして拒否した。
佐藤議員は、拘束されて以降のフセイン元大統領に対して適正な法手続がとられているかが疑問だとして、罪名・犯罪事実の告知、弁護人の選任などが行われたのかを質した。しかし小泉首相は「(米国から)聞いていない」などと無責任な答弁に終始した。
若林議員は、派遣自衛隊の撤退の基準を文書化することを要求したが、石破長官は「手伝わなくてもイラクの人々が自分たちでできるようになったら速やかに撤退するべき」などと抽象的な答えるだけで、文書化については取り合わなかった。
討論では、ツルネン・マルテイ議員が発言。ツルネン議員は「(政府・与党の)非民主主義的で卑劣なやり方での派遣に憤りを覚える」とし、イラク国民による政権樹立に向けて国連主導の環境整備を進めるよう主張するとともに、承認に反対を訴えた。
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