衆議院イラク支援特別委員会の10日の質疑で、民主党・無所属クラブから末松義規、藤田幸久、達増拓也、田嶋要の各議員が質問に立ち、政府による自衛隊派遣の問題性を具体的に追及した。
トップで質問に立った末松議員は、サマワに滞在した民主党関係者の報告を元に、「戦闘行為が行われなかったサマワで大金をかけて自衛隊が復興支援活動を行うことに違和感が生じている」と語り、派遣ありきの支援活動計画であると指摘した。また、武力行使の対象となり得る戦闘行為の組織性・計画性・継続性等の判断基準を質し、フセイン残存勢力の活動での該当例があったか質したが、川口外相は「個別・具体的に見ないと判断できない」などとして明確な答弁を回避。末松議員は「結局判断できない。非戦闘地域・戦闘地域等も虚構の概念にすぎない」と批判した。
次に質問に立った藤田議員は冒頭、前回の委員会で与党によって自衛隊派遣承認の強行採決が行われたこと、しかもその際、委員でもない自民党議員が乱入して民主党の理事に暴行を働き負傷させたことに対して、「国会を戦闘地域にしてしまった」と述べて強く抗議した。また藤田議員は、「日本は大量破壊兵器を持っているか」「製造・保有能力があるなら攻撃の対象になりうるのでは」などと質して、政府のイラク攻撃支持の論理の荒唐無稽さを浮き彫りにし、「大義のない戦争は犯罪だ。大義が崩れていることの意味について政府は鈍感すぎる」と厳しく批判した。
達増議員は、今回の自衛隊派遣で日米安保条約の範囲が極東を超えてインド洋、中東へと広がり、世界に拡大していくのではないかという危惧が生じていると指摘した。また、6月末の暫定政権樹立に向けイラク国内では直接選挙を求める声が高まっており、間接選挙で暫定議会議員を選出するという米国と統治評議会が合意した政治プロセスは破綻しているのではないかと質した。
昨年の総選挙で初当選して以来初めて質問に立った田嶋議員は「愛する人、つながりがあればアメリカが本当にイラクを攻撃しただろうか」と前置きし、現地で一体何人のイラク人を雇うのかを質した。石破防衛庁長官は「正直なところ言えない。1日単位では数十人から100人」などと答えた。また自衛隊の撤退の判断基準を質したのに対して、石破長官は「国連の要請に基づく派遣なので、1国で判断するものではない」などと答え、明確に答えなかった。
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