衆議院予算委員会で12日、政府予算案に対する基本的質疑が行われ、民主党政調会長の枝野幸男議員が民主党予算案と対比させながら政府予算案の問題点を質した。
枝野議員はまず年金制度一元化の必要性を示し、国民年金、地方公務員共済、国家公務員共済それぞれの積立金の株式への運用状況を質問した。坂口厚労相、谷垣財務相、麻生総務相の答弁から株式へは国民年金積立金が圧倒的に多く運用されている実態が明らかになり、枝野議員は「評価損の比率も国家公務員の積立金が圧倒的に小さく、ロスが出ても影響は圧倒的に小さい」と指摘。株価維持のために国民年金積立金を運用しているのではないかとの見方を示した。
枝野議員はまた、公的年金資金で建設した大規模保養基地「グリーンピア」の実態を取り上げ、3800億円に上る費用の回収のメドが立っていない現状について「国民年金加入者の福利厚生ではなく、厚生官僚の天下り先の確保施設だ」と指弾。「こうした運用が国民年金加入者の不公平感につながる」と断じた。
基礎年金の国庫負担割合の2分の1引上げをめぐる議論では、坂口厚労相は増税による財源確保の方針を提示。「受給者への支給減か、保険料の負担増しなかい現状の打開策としては果たして増税しかないのか」と枝野議員は問題提起し、税の無駄遣いの見直しこそが重要とする民主党の考えを提示。「5年前にも全党一致した課題とされた2兆7000億円の確保は税の無駄づかいを削減したお金を当てるべきだ」と主張した。歳出の抜本的な見直し策としては、公共事業削減で4.5兆円、地方財政改革に伴う地方交付税の縮減で3.8兆円、補助金を一括化することによる経費削減で0.7兆円、特殊法人・独立法人向けの歳出削減で1.4兆円、一般の行政経費で1.6兆円、計約12兆円の歳出削減を実現する民主党案を示した。
枝野議員はさらに、郵政民営化に逆行する簡易保険の業務拡大を問題視し、日本郵政公社が1月から定期付き終身保険の簡易保険版の発売を開始したことについて「民業圧迫につながる」と批判。これに対し、小泉首相は「(郵政民営化という)大改革を実現するためには、ある程度の配慮は必要だ。政治の世界では必ずしも理論どおりにはいかない」となどとするにとどまった。
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