衆議院予算委員会で13日、16年度総予算に関する基本的質疑が行われ、民主党から石田勝之、達増拓也、小泉俊明、平岡秀夫の各議員が質問に立った。
石田議員は児童虐待問題を中心に質問。「虐待された児童が成長しても心のトラウマに立ち直れないで犯罪に関ったりする。児童相談所への虐待の通報が年間2万3千件とされるが実際は10万件を超えるのではないか」と指摘、集中的なキャンペーンやプロジェクト委員会をつくるなど国家的な取り組みが必要と力説した。また、予防や早期発見のために児童福祉士、保健士の増員や虐待を一番発見しやすい学校教員の対応の強化なども訴えた。さらに、親と児童相談所のトラブルが多いことから、「米国のように家庭への立入り調査権と子どもへの対面の義務化を強化すべきだ。親権の一時停止へ民法改正も視野に入れるべきだ」と説いた。
イラク派遣問題を取り上げた達増議員は、まず、国連憲章が戦争の違法化を目指していると指摘。しかし、国連憲章、憲法の制定当時とは異なり、今は地域紛争にどう国際社会が対処していくかが課題として「安保理決議による多国籍軍への参加は可能か」と質問。秋山内閣法制局長官は「わが国の実力行使となりできない」と答えた。達増議員が「国土防衛隊としての自衛隊では、海外への派遣には訓練、予算その他の問題で時間がかかる。国連待機部隊をどう思うか」と質した。石破防衛庁長官は「費用対効果からいっても、別組織が効果的とは思わない」と答弁。小泉首相も「待機軍よりも、自衛隊、アメリカとの同盟による方が安全」と答えた。
小泉議員は、政府の景気対策について質問。とりわけ、今年に入って立て続けに行われようとしている増税・国民負担増──配偶者特別控除廃止、物価スライド制適用による年金支給額減、住民税アップ、厚生年金料引き上げなど──が個人消費に悪影響を与え、内需を冷え込ませることを指摘し、「今こそ内需拡大に大胆に転換すべきだ」と強く迫った。しかし経済閣僚は、「小渕内閣時代の大減税や昨年からのネット減税もある」(谷垣財務相)、「外需から内需への転換はスムーズに進んでいる」(竹中経済財政・金融担当相)などと高をくくった答弁を繰り返し、現状への危機意識の薄さをさらけ出した。
最後に質問に立った平岡議員は、靖国神社と国立追悼平和祈念施設の問題を質問。元旦に靖国神社に参拝した思いを質したのに対して小泉首相は「多くの戦没者に哀悼の誠をささげたい。2度と戦争を起こしてはいけないという思いをこめて」などと答弁。平岡議員は思いは共感するとの考えを示しながらも、違憲・合憲の議論を回避するためにも国立追悼平和施設の必要性を改めて指摘した。
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