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2004/02/18
【党首討論】菅代表、日本の方向性、イラク派遣で首相と論戦
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 今国会初めての党首討論が18日に行われ、民主党の菅直人代表は食の安全と農業再生プラン、大義なきイラク戦争と自衛隊派遣の違憲性、道路公団民営化、自公連立などについて40分にわたって小泉首相と激論した。主なやりとりは以下の通り。

菅代表 安心できる安全な食べ物を欲する国民の声が強くなっている。食料自給率は30年前、日本60%、英国46%、今は日本40%、英国74%と、同じ島国で工業国として発展してきた両国が逆転している。自民党農政は失敗したのではないか。

小泉首相 農家を考えての施策が思うように進んでいなかった。改善の余地がかなりあると思う。

菅 私も昨年から各地を視察して農家の皆さんの話を聞くと、自民党政府の農政を評価する声はなかった。多くはいろいろ問題がある、将来が不安だ、後継者がいないという声ばかりだった。次の参院選までに私自身の責任で民主党の農林業、農山村の再生プランをマニフェストとして国民に提示したい。総理も小泉マニフェストという形でプランを出して欲しい。

小泉 農業改革、食料政策は必要だと思うので、民主党の提案は歓迎するし、良い点はどんどん取り入れたい。

菅 青色発光ダイオードの発明で中村修二氏に200億円の特許料を支払うよう裁判所が会社に命じたことは大変結構なこと。子どもたちは何億円という高額報酬をもらうスポーツマンに憧れていたのが、今度のことで会社勤めの技術屋に対して子どもたちに夢を与えるのではないか。高校生の物理・数学離れも改善されるのではないか。

小泉 喜ばしいことだ。本人の才能を会社としては過小評価していたのではないか。才能を開花させるような会社側の対応も必要だ。

菅 日本が行き詰まった今の状況を打開していくためには、第1次産業と技術革新の分野が両輪となって行かなければいけない。今までの自民党政治は両輪の劣化を招いてきたのではないか。

満州事変から終戦にいたる日本外交を検証した外務省報告書『日本外交の過誤』を基に前フランス大使の小倉和夫氏が著した『吉田茂の自問』で、柳条湖事件、盧溝橋事件などでっち上げの事件を大義名分に戦線拡大していった日本軍に対して当時の政治家、マスコミ、世論がここまで行ったら仕方がない、行け行けどんどんで、米国と戦争して勝てると誰も思わないけれども既成事実の積み重ねの中で開戦まで進んで行ったことが述べられている。今回のイラク自衛隊派遣に関して、米国民すらイラク戦争の大義名分がないのではないかと言う中で、戦争を支持して占領軍に加わる形で自衛隊を派遣することは歴史の流れの中で大きな間違いの第一歩を踏み出したのではないか。

小泉 大義名分があったと信じている。重なる国連決議にイラクは従わなかった、査察に対して妨害した、自ら大量破壊兵器を持っていないという立証責任を果たしていないことなど、日本は総合的に判断してこれを支持した。自衛隊派遣も菅さんの言うように憲法違反だと思っていない。自衛隊は武力行使に行くわけではない。イラクの復興支援、人道支援に行くのだ。

菅 総理はイラクの戦争が始まった時点では大量破壊兵器が存在しており、それが他の独裁国やテロリストに渡ると9・11を超える惨劇が繰り返される怖れがあるから、それを防ぐために先制攻撃を支持すると言った。その時は大量破壊兵器の存在を前提としていたのが、今や大量破壊兵器を破棄したことをイラクが証明しなかったからだと、総理は根本から違う論理を組み立てている。

総理は武力行使はしない、非戦闘地域にしか自衛隊を派遣しないと言っているが、今イラクに非戦闘地域がどこにあるのか。非戦闘地域であるからという論理が崩れた途端に憲法違反になる。

小泉 自衛隊は武力行使に行くのではない、戦争に行くのでもない。復興支援に、人道支援に行くのだ。戦争に行くのなら、憲法違反だが。現に非戦闘地域だからこそ現地で歓迎されている。戦闘地域だったら自衛隊を派遣することはない。

菅 この説明を聞いて、なるほどサマワは、バクダッド空港は非戦闘地域だから自衛隊が派遣されたのだと受け止める国民が果たしてどれだけいるだろう。私どもは復興支援や人道支援が必要ないと言っているのではない。しかし、あの戦争は正しかったから行くのだという論理は間違っている。あの戦争は正しくなかったが、現状がこうなった以上は人道支援を行う、というのが民主党の考え方である。

道路公団民営化について、「政府は推進委の答申の核心部分を抜き取って、今の道路公団以上に悪いスキームを選んでしまった。ところが困ったことに、当の小泉総理は改革が成功したと思い込んでいます」。これは誰の言葉か分かるか。

小泉 誰の言葉だか分からないが、私は稀に見る画期的な大改革だと思っている。野党だから批判する。自分たちの意見が正しいと思うのなら、それで結構。しかし、私は抜本的な大胆な改革案だと自負している。

菅 総理自身が任命した道路公団民営化推進委員会の田中一昭元委員長代理が「文藝春秋」今月号で述べているものだ。「一番悪いのは、失敗したのにそれを認めないことです。失敗なら早くやり直さなくてはならない。しかし、失敗を認めず、改革は進んでいます、と言い続けていれば、真の改革はますます遅れ、事態は悪化する一方です」。今の総理の言葉がまさにそれに当たる。これも推進委員の松田昌士JR東日本会長の言葉だ。つまり、総理はマニフェストで推進委の意見を尊重するとしておきながら、推進委のメンバーは総理が全く尊重しなかったと明確に言っている。総理はマニフェストに反している。

小泉 全然反してはいない。私は推進委の意見を基本的に尊重し、これからも必要な道路は作る。大胆で画期的な改革案だと将来評価されると確信している。

菅 基本的に尊重したとは総理の思い込みであって、客観的には誰も、当事者すらも思っていない。こんなメチャクチャナ話はない。これでは本当の改革は進まない。

昨年の総選挙で自民党公認候補の多くが「比例は公明党に投票を」と訴え、その中では重複候補で自民党の比例で当選した者もいる。国民を欺く行為だ。

小泉 確かにいたことは承知している。できれば政党公認の候補者は選挙区は自らに、比例は所属政党に投票してくれと言うことが望ましい。しかし、候補者の立場があり、腐心の立場を現していると思う。政党人として節度を持ってやった方がいい。結果的にはそういう行為がどう判断されるか投票の結果に出てくる。候補者自身が問われてくる。

菅 その投票の結果が比例ではわが党が第1党の自民党より多くの票を得るという形で現れた。自民党が公明党と連立を組むことは結構だが、政策にまで公明党の顔色をうかがって自民党は自立した政党でなくなっている。中曽根元総理もそのことを心配している。自民党は公明党と連立ではなくて、「自民・公明融合新党」になっている。

小泉 自民党は自由で民主的な政党だ。国を考えて連立しているわけだから、お互い尊重し合い、協力し合い、言うべきときは言う。公明党とは安定した関係であり、この安定勢力を基盤に日本にとって必要な政策を推進していかなければいけない。

菅 正当なる政党の連立とは異なっている。国民的政党とは言えない。

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