衆議院予算委員会で20日、平成16年度総予算に関する質疑が行われ、民主党から海江田万里、田中慶秋、吉田治、平岡秀夫、小泉俊明、長島昭久の各議員が質問に立った。
海江田議員は北朝鮮問題への政府のスタンスを質した。川口外相は6カ国協議と日米韓3カ国会談に臨む姿勢として「北朝鮮における核開発の完全検証可能な、不可逆的な廃棄が必要とする基本的な立場で臨む」とした。海江田議員は日米韓で足並みを揃えることの重要性を指摘すると同時に、改正外為法等の効果的な活用を川口外相に要請。「6カ国協議ではしっかりとした主張を」と釘を刺した。
また海江田議員は、国民年金基金の資産運用について質問。国内・国外株式へ58.9%も運用されている状況を「比率が高すぎる」と指摘した。さらに責任準備金に対する資産が平成14年度で3299億円も割り込んでいることも追及。森副厚労相は「年金の支払いに直ちに支障をきたすものではない」などとしたが、海江田議員は、国民年金基金は解散もあり得る以上、保険者の不利益につながると指摘した。
田中議員は、2003年第4四半期の実質GDP成長率が年率7%と発表されたものの、政府の規制が地域や中小企業への波及を阻んでいると指摘。その実例として、地方銀行や信用金庫に対していまだに大手都市銀行と同様のBIS規制に基づく検査が行われ、中小企業への貸し渋りにつながっている問題を追及した。竹中金融担当相は「中小金融機関向けのマニュアルが現場に徹底するよう努力する」などと答えた。
また田中議員は、「この増税予算で景気が良くなると思うか。消費拡大につながるか」と政府予算案を批判。しかし竹中大臣は「若干の負担増はあるが、耐えながら回復していけるのではないか」などと暢気な答弁に終始した。
吉田議員は、監獄制度問題を取り上げ、代用監獄との分離を図ったうえで早急な法改正を求めた。野沢法相は「50年、100年もつ法改正をしたい」と答えた。テロ・治安対策では、警官の時間短縮の見合った増員、民間の知恵、力の活用を求め、小野国家公安委員長は「OBの相談員としての再雇用、駐車違反対処の民間委託を考えたい」と答えた。
平岡議員は、税制改革について「納税者あっての税、納税者が納税しやすいように」として、非上場企業株式の少額配当課税の廃止を見直すように求めた。また石破防衛庁長官の自衛隊機使用に関して、1月31日、選挙区から自衛隊機で千歳基地まで行ったことを取り上げ、自衛隊機の使用基準の明確化を求めた。石破長官は事実は認めたものの、使用基準ついては答えなかった。この使用でかかった費用は約47万円だった。
小泉議員は冒頭、国民生活の実態を見るために谷垣財務相にハローワークの視察を勧め、18日に政府が発表した「実質経済成長率7%」について「国民は実感がない。かさ上げではとの疑念を持っている」と指摘。「円高・ドル安に対する巨額な市場介入の効果は疑問。昭和61年と同じ税収で予算を組むのは間違い。土地と株式の下落の継続を許し、不良債権処理を進めてきたことが景気回復できない最大の原因。景気判断を間違えて国民負担を増やし消費を冷え込ませて景気を失速させることの繰り返しだ」と政府の財政運営と経済政策の失敗を批判した。
長島議員はまず、この日告示された台湾総統選について「日本人の多くが台湾の民主主義の成熟を心密かに応援し、拍手している」と指摘。その上で、総統選と同時に中国のミサイルの脅威に対する防衛力強化の是非などを問う公民(住民)投票が実施されることに対し、日本政府が日台交流協会を通じて総統府に「慎重な対処」を申し入れたことは「あからさまな内政干渉であり、選挙干渉だ。『現状変更』しようとしているのは中国だ」と川口外相を追及した。
また長島議員は、昨年12月に閣議決定したBMD(弾道ミサイル防衛)システム整備方針について、「日米共同研究と関係なく日本独自のBMD」としている意味、防衛装備全般の抜本的見直しなどを石破防衛庁長官に質した。
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