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2004/02/25
【衆院予算委】年金および構造改革で首相を追及
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上から、石田議員、達増議員



上から、古川議員、生方議員
 衆議院予算委員会で25日、年金および構造改革問題等について集中審議が行われ、民主党の筒井信隆、鉢呂吉雄、永田寿康、石田勝之、達増拓也、古川元久、生方幸夫の各議員が質問に立った。
 
 筒井議員は冒頭、年金改革の政府案について「抜本改革、根本改革とは言えない。制度そのものに手を加えておらず、小手先改革、数字合わせ改革だ」と指弾。小泉首相や坂口厚労相はモデル世帯に限定せずに「給付は現役世代平均収入の50%以上の水準を確保する」と説明しているが、(1)夫が40年勤務(2)平均月収36万円(3)妻が40年専業主婦、の3条件が前提のモデル世帯だけが50%以上の給付を受けられるのであって、それ以外の大半は50%未満だと指摘、「誇大広告だ」と迫った。小泉首相は「政治家として分かりやすく説明することが必要で、大雑把にならざるを得ない」といい加減な答弁であった。

 鉢呂議員は警察官不祥事の多発について取り上げ、警察官の懲戒処分が過去10年間で100件台から300〜500件に激増していることを指摘。「市民を守るべき警察官が逆に市民を脅かしている」として小泉首相の見解を質した。さらに北海道警察の報償費疑惑に関連して、平成12年の警察法改正で国家公安委員会の「警察観察の指示」を新設したにもかかわらず全く機能していないとし、「首相は厳正に対処するよう指導すべきだ。道警本部長以下組織ぐるみの疑惑であり、道警の調査を待たずに国家公安委員長は具体的個別的に指示すべきだ」と迫った。

 永田議員は経済産業省のIT関連委託事業に関して吉田幸弘・自民党前衆院議員と関係が深い企業が下請けに入っていた利益誘導疑惑について、経産省の調査状況を質した。中川経済相は「内部調査を行っている。また、公認会計士などを含め、外部の調査委員会を設置し、専門家の意見をいただいている」とし、早く結果を出したいとの前向きな姿勢を示した。

 永田議員はまた、日本歯科医師連盟が自民党議員や政党支部に支出した政治献金が資金管理団体や政党支部などの収支報告書に記載されていなかった問題で、小泉首相に「自民党総裁として受け手側の資金管理を調査していく考えはあるか」と質した。小泉首相は「自民党は法に則って適正に献金を受け、収支報告を提出している」などと居直った。
 
 石田議員は冒頭、昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)の実質成長率が年率7%増となったことで小泉首相が「景気の潮目が変わった。小泉政権が支持されているのは景気の好転が大きい」などと発言したことを取り上げ、「国民には実感がない。大企業だけで中小企業には好転の兆しが見えない。勝ち組、負け組の二極化が鮮明」と反論、首相の認識の甘さを批判した。
 
 また石田議員は、道路公団民営化にあたり、道路公団の有料道路事業費を当初の20兆円から10.5兆円にするとした首相の発言に対し、「半減した印象を受けるが実際にそうではない」と追及。国の直轄事業費への切り替え等が行われているにすぎず、実際にかかる建設コストは13.5兆円で削減額は6.5兆円にすぎないことを指摘し、「小泉首相特有のトリックだ」と批判した。
 
 達増議員はまず、北海道道州制モデル事業予算(100億円)を取り上げ、「複数都道府県にまたがる事業の執行、意志決定が道州制の本質。北海道をモデルにするのは的外れだ」と批判。小泉首相は「いくつかの県が一緒になって1つの行政圏になるとは限らない」などと言い訳したが、達増議員は「こういう事業こそ全都道府県で一斉にやるべきだ。国の負担をスリム化することだけを優先していては三位一体の改革も進まない」と指摘した。
 
 また、独立行政法人に対する財政措置が平成15年度に比べて激増している理由についても質問。谷垣財務相は、特殊法人等関係予算を含めると平成13年度に比較して減っていることを挙げて「整理合理化は進んでいる」としたが、達増議員は昨年比でわずか413億円(1.3%)の減額にすぎないことを指摘し、特殊法人改革の進展に疑念を示した。
 
 古川議員は、社会保障制度改革について質問。企業や家庭が負担を分担したり、給付先食いで負担を先送りしてきた“右肩上がり”の時代の社会保障制度に替わる新たな制度のビジョンを質した。しかし首相は、給付と負担のバランスについて論じることしかできず、古川議員は「ビジョンを示せなければ、改革の議論ができない」と一喝した。
 
 また古川議員は「政府の年金改革案は小泉マニフェストで言う『抜本改革』か」と追及。首相が「具体的数字を出したことが大きな一歩」「各政党で抜本改革の捉え方が違う」「抜本的、だ」などと苦しい釈明に汲々とするのに対し、「現行制度の延長線上で負担と給付のあり方を調整するだけでは、抜本改革の名に値しない」と厳しく断じた。
 
 生方議員は、約91兆円にも及ぶ国民負担(年金基金運用の損益、年金を使った施設建設、銀行への公的資金投入の内損金となった部分、財政投融資金の貸付先の特殊法人の債務超過など)の責任は自民党にあるとして、小泉首相に迫った。首相は「だからこそ改革。改革するのが私の責任」と空疎に答え、具体的な内容には触れなかった。
 
 また生方議員は、政府の年金改革案の基礎になる予測数字が全く外れていること(01年予測で厚生年金加入者がマイナス300万人、国民年金加入者がプラス400万人)を取り上げ、「予測の設定が違うのでは。予測自体がおかしい」と指摘。こうしたことが、負担増だけで改革が先送りになるのではとの国民の年金不信を助長しているとして、抜本改革を求めた。

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