衆議院予算委員会で4日午後、食の安全をめぐり集中的一般質疑が行われ、民主党から鮫島宗明議員、山田正彦議員、五島正規議員の3人が質問に立った。
鮫島議員はWTO体制になってから、O157、BSE、鳥インフルエンザなどが相次いで起きているのは、食品安全行政に根本的欠陥あるからではないかとし、厚生労働省と農林水産省に分かれている縦割り行政を批判。その例として「厚生労働省のHP上に感染した鶏の卵や肉が市場に出回ることはないとあるが、なぜか」と質した。坂口厚労相は「訂正をしなければ」と答弁。また、厚労省と農水省で、感染防止策の周知が異なり、最も感染の恐れが強い養鶏業者には厚労省からの指導がなく、農水省からはマニュアルで「注意」となっていることが明らかとなった。鮫島議員は、先進国では食品の安全行政は一本化しており日本もそうすべきであること、また輸入国での定点観測をすべきことを提案した。福田官房長官は「検討します」と答弁した。
山田議員は鳥インフルエンザ対策をめぐって、「移動禁止区域の30km以内では鳥ワクチンを打ち、拡大を防ぐべき」と迫った。亀井農水相は「ワクチンを接種する事態ではない」として拒否。また、豚コレラワクチンの接種を止めているのを再開するよう求めたが、これも農水省は拒否した。これらの答弁に対して山田議員は「行政の怠慢、政治の怠慢」と厳しく指弾した。
さらに、卵の移動禁止による補償制度がしっかりしていれば、今回のように報告が遅れなかったのではないかとして、各国の補償の例を質した。農水省消費・安全局長は「オランダでは疾病50%、健康なら100%」と答弁。重ねて山田議員がアメリカの補償を問い質すと「調べておりません」とあきれた回答。亀井農水相は「十分検討したい」と取り繕った。
五島議員は「ウイルスの特性があやふやだ」として、東南アジア発生のものとは別の種類である国内の山口、大分、さらには京都のウイルスの解析と感染経路の解明状況について質した。さらに「人インフルエンザ・ウイルスと鳥インフルエンザ・ウイルスが豚などを通して遺伝子組み換えが起きて新型インフルエンザ・ウイルスとなる危惧があり、その変性のスピードも速い」と指摘。「人類にとって極めて危険であり、緊急を要する。厚労省と農水省は遺伝子の変性による人類への直接的な影響のスピードを予測しているのか」と質すとともに、「豚などの調査は日本国内だけで対応できない。WHOと協力してアジア地域での調査や情報収集を実施すべきだし、予算についても配慮すべきだ」と力説した。
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