1.基本認識
● テロの脅威は依然存在、あるいは拡散傾向にある。
● テロの根源は政治的、経済的、社会的な要因が様々な絡み合っている。それに対する処方箋も当然多様なアプローチが求められる。
● テロ対策のためには、国際協力・協調体制の維持・強化が不可欠。
2.国際的なテロ対策
紛争地域外においては直接支援を行い、紛争地域内においては、国際機関、NGOそして現地の人々等と緊密な連絡協議等(TV会議やTV電話などを活用)を通じた協力を行う。
(1) 紛争地域の復興支援
(i)治安回復
市民生活を尊重した警察制度の導入支援。
武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)(アフガニスタンで実施)支援。
(ii)国別援助計画の策定
人道支援から復興支援に切れ目なく繋げるためのロードマップ策定。生活基礎インフラ(電力、上下水道や、放送・通信施設、学校・医療施設等)整備から開始。
(iii)「民」との連携
世界食糧計画(WFP)などの国際機関による支援に加え、「民」が参加できる地域や分野でその活力を活用。「官」と「民」の間の相互補完関係と情報共有、NGO支援のためのシステムづくり。
(2) テロ組織の撲滅
(i)資金源の撲滅
テロを支える資金源としての麻薬対策(アフガニスタン)やマネーロンダリングの対策など。
(ii)国際的協力体制の確立
各国が収集した情報の効果的な共有を始めとし、国連安保理理事国や、アジア、アラブ諸国、アフリカ連合、国際機関などによる積極的関与を促す環境整備。
(iii)国際法制度の整備
人道上看過できない国際テロ事件に対して、厳格かつ公正に対処していくため、国際社会の法整備などを積極的に推進。そのためにも、国際刑事裁判所(ICC)の早期批准は不可欠。
(3) 政治・宗教・民族間の対話の促進
イスラム世界との対話などを深め、対等の立場で相互の問題について議論、交流。
(4) 貧困の根絶
(i)人権・教育問題への取組み
国の礎をなす国民が尊重される社会、法のもと国民一人ひとりが互いの人権を認め、自分の能力を伸ばしていける社会作り。
(ii)生活基礎インフラの整備
マイクロ・クレジット(貧困層へのきめ細かい融資)などにODAを有効活用した産業育成の支援。アフガニスタンではケシ栽培から脱却させるための農業育成など、貧困層の個々人が自立できる生活基盤へのODAの中・長期的活用。
(iii)民主主義の定着
産みの苦しみにあるイラクやアフガニスタンなどをはじめ、民主化プロセスを後押し。ただし、メニューの押しつけにならないよう要注意。
【注1】紛争地域への対応
(1)イラク
我が国は自衛隊の活動ではなく、医療支援、警察支援、生活基礎インフラなどのソフト分野に焦点を当てたパッケージを提示して、復興支援に取り組んでいくべき。
イラク特措法
既に自衛隊はその役割(給水等)を終えつつある。また、イラクに「非戦闘地域」は存在しない。自衛隊は年内に撤退すべき。
(2)アフガニスタン
国際社会の協力による「テロとの闘い」が開始されたアフガニスタンで、安定と復興を達成させることの重要性を強く認識。アフガニスタンをテロの温床化させず、長く続いた銃による支配から脱却させ、安定した市民社会に移行させていくには、持続的な発展を促す効果的な支援が必要。
テロ特措法
テロとの闘いにおける国際的な協調体制が重要。陸上においては、国際機関やNGOとの連携を重視。諸外国の軍隊が行う海上阻止行動への自衛隊による協力支援活動については、アフガニスタン及び国際社会の要請を踏まえて、期限などを切った上で継続していく。ただし、そのためには現在の活動の実績・成果等に対して政府が説明責任を果たしていくことが不可欠。
【注2】自衛隊派遣の基準とシビリアン・コントロール
自衛隊派遣への対応のあり方などについては、シビリアン・コントロールを踏まえ、別途策定する。
3.国内テロ対策(2001年10月6日付NC「国内テロ対策」からの抜粋)
(1) 一元化された情報収集体制の確立
(2) 危機管理体制の整備
(3) 警備・即応体制の整備
(4) 海上警備体制の整備
(5) 原子力施設へのテロ対策
(6) ハイジャック等対策
(7) 出入国管理体制
(8) 核・生物・化学兵器(NBC)テロ対策
(9) 在留邦人、海外旅行者、在日外国人の安全対策
(10)テロ資金、マネー・ロンダリング等対策
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