民主党の農林漁業の再生を考える運動本部は25日、国会内で団体ヒアリングを行い、全国漁業協同組合連合会の菅原昭代表理事副会長、大日本水産会の中須勇雄会長、日本鰹鮪漁業協同組合連合会の石川賢寛常任顧問から漁業の現状についての報告を受け、意見交換を行った。ヒアリングには運動本部長の菅直人代表、副本部長の鹿野道彦「次の内閣」農林水産大臣らが参加した。
菅原氏は「漁村の状況は知りうる限り最悪」と報告。環境汚染による水質悪化などにより資源が減少しているうえに、水産物輸入量の拡大で魚価も下落し、収入減と漁業者の減少、高齢化で漁村の崩壊が目前に迫っているとして、セーフティネット構築の必要性を強く指摘した。
中須氏も輸入拡大による魚価下落の例として、冷凍マグロが10年間で半分以下にまで落ち込んだことを紹介。また、漁業収入の減少から新しい漁船の建造率も年々下がっている状況が報告され、「何もしないで手をこまねいていると、わが国の沖合い、遠洋漁業は壊滅的になる」と訴えた。
意見交換では、漁業経営を支えるための所得補償、直接支払いをめぐって漁業関係者から「補償をうけているのだから、輸入量は減らさなくてもいいといった論理に流される危険性がある」との指摘があった。また「漁業者は国からお金をもらって成り立てばいいのではなく、とった魚で生計が立つようにしたいのだ。海を大事にする視点が重要」との提言も出された。
|